読者から「釣り情報でハナダイの船釣りというのが出ていました。マダイとは違うのでしょうか。ハナダイという名前はスーパーなどでは見ませんが、食べられるのでしょうか」という質問をいただきました。
このコーナーが始まった一昨年9月の2回目でコダイとタイコの違いについてお話しました。覚えていますか。タイコがマダイの子、コダイはチダイの子でしたね。ハナダイとはチダイのことです。関東ではチダイをハナダイと呼びます。それが庄内の釣り人に常用されるようになったのではないでしょうか。コダイと似て非なるものと言えるタイコは男鹿半島では花子と呼ばれているようです。
鶴岡市内のある著名な料理人は、コダイとタイコほど家庭で食べにくい魚はないと言っていました。庄内弁でコドギと呼ぶ小骨がたくさんあるからです。でも、手間暇をかけるなら話は別です。やはり一般的な料理は塩ふり焼きでしょう。
コダイの中でも特に小さいものをバラコダイやカスゴ(春子)と言います。カスゴだったら小骨も食べることができるし、うろこを取る必要もないので、一般の家庭でも扱いやすいと思います。ただし、開くのが少し難しいかもしれません。調理法はつくだ煮や空揚げでしょう。空揚げの場合は二度揚げします。ぜひチャレンジしてみてください。
この辺ではなじみがない料理法ですが、小浜(福井県)には「小鯛のささ漬け」があります。3枚に下ろして食べられる部分だけを酢漬けにするのです。このときにササの葉を使うのと、可食部分だけになったコダイの身がササに似ていることからこの名が付いたようです。皆さんが食べるようになれば、庄内でも商品化されるかもしれません。
ハナダイはチダイですから大きくなっても体長は45センチ程度、重さも1キロぐらいです。マダイなら10キロクラスもいます。コダイとタイコの見分け方は2回目で説明しました。初めての方もいるかもしれないので復習しておきましょう。えらぶたの縁の奥が赤くなっているのがチダイで、タイコのように尾びれに黒い縁取りはありません。
この辺では潮ふり焼きやみそかす漬け、空揚げ、つくだ煮など地味な料理ばかりで、子ども向けとは言えませんね。料理本にはつみれスープとかクリーム煮、千草焼き、うま汁煮などが紹介されていましたが、かなり手間がかかります。「3分クッキング」ではとても紹介できないと思います。可食部分だけを取り出すと小さくなってしまいます。イワシのようにすり身にして売っていれば、家庭でも使いやすいのになあと思いました。これからの時期はタイコが旬を迎えます。
(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2007年10月31日付紙面掲載