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漁法で評価違うノドグロ

タラの白子は高タンパク質の食材です。おいしい時期です

読者から「忘年会でタラの白子の刺し身を食べました。とてもおいしかったのですが、体にもいいのでしょうか。たくさん食べても大丈夫ですか。タラ以外に白子がおいしい魚はありますか」と、「正月にテレビを見ていたら、山陰地方ではノドグロが高級魚と言っていました。庄内でも捕れると思いますが、おいしいのでしょうか。値段は高いですか」という2つの質問をいただきました。

まずタラの白子についてお話しします。タラの白子は高タンパク質の食品なので体にいいそうです。たくさん食べて悪い症状が出たという話は聞きません。ものには程度がありますが、気にせず食べていただいてかまわないでしょう。ただ、解体してから時間がたっている場合もあるでしょうから、さっと湯通しして食べる方がより安心できると思います。湯通しすることで甘みも増します。

タラ以外で皆さんが知っている白子といえば、高級食材のフグがあります。特にトラフグの白子が美味と言われています。意外に召し上がっていないのがタイの白子ではないでしょうか。捨てることが多いようですが、フグ以上においしいと話す魚屋さんもいました。サケの白子も捨てることが多いようですね。でも、好きという人もたくさんいます。ニシンの白子も好む人がいるようです。

次にノドグロの話に移ります。この辺でも近年、捕れるようになり、同時に食べるようにもなりました。青森県が北限で、暖流系の魚に入れてよいと思います。庄内でおいしいのは春と秋、逆に冬と夏はやせているのも多く、個体差が出ます。価格は、白身ではアラと並ぶ最高級魚と言っていいと思います。

ノドグロの体はオレンジ色で、光沢があるのが特徴です。見た目も美しく輝いています。口を開けると、のどの奥が黒いところからこの名が付いたようです。全国的にはアカムツと呼ばれています。アカムツにそっくりで体が黒いものにクロムツという魚がいます。ノドグロより少し値段は下がりますがやはり高級魚です。北陸地方ではカサゴの仲間のマメカサゴをノドグロと呼んでいるようです。この辺でも少しだけ捕れます。やはりのどの奥が黒い魚です。

ノドグロは漁法によって評価が分かれます。庄内でも高級魚です

ノドグロは釣り物、底引き物、刺し網物と、漁法によって魚に対する評価、価格が違ってきます。挙げた順番に高い評価が与えられます。釣り物は、はえ縄漁で捕るもののことです。傷が付くのは口だけで、魚体の傷みもなく、輝いた状態で捕れます。底引き網にかかるノドグロは、表面のうろこが取れた状態で水揚げされます。刺し網物は、一昼夜たって目が黒くなったり、首に傷がついたりもします。

テレビの刑事ドラマで、刑事たちが死体についてうんぬん言う場面を見ますが、われわれも魚を見て、どんな漁法で捕れたかを判断します。釣り物は、魚体が大きいものが揚がるので、傷もないし、刺し身に向きます。底引き物は、15~20センチの小型サイズが多く捕れます。表面がすれていますが、鮮度がいいので1匹付けの塩ふり焼きにいいでしょう。煮付けでも大丈夫です。刺し網物はよく観察する必要があります。鮮度が悪ければ刺し身にはできません。ノドグロは、漁法によって値段も特徴も違ってくる魚なのです。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2008年1月18日付紙面掲載

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