読者から「庄内でもスケトウダラは捕れるようですが、やはりかまぼこなどの原料になるのでしょうか。生のスケトウが店頭に並ぶことはありますか。旬とおいしい食べ方も教えてください」という質問をいただきました。
スケトウダラはトロール漁、つまり底引き網漁で捕れる魚です。7月から2カ月間、禁漁になるので、まもなく地物のスケトウダラを見ることはできなくなります。庄内浜では、ハタハタをはじめ禁漁期が終わると味がよくなるという魚が多いのですが、スケトウダラもその中に数えられると思います。10月から11月が旬で、禁漁期に体を休めて徐々においしさを増すのです。12月に産卵期を迎え、子と白子もおいしくなります。
スケトウダラが標準和名です。この辺ではスケソダラとか助宗(すけそ)などと呼んでいます。かなり沖合に生息していて、ハタハタや赤ガレイ、ホッケなどと同じような海域にいます。庄内でもかなり捕れますが、タラと言えばマダラという食文化ですから地場消費は少ないのです。
スケソとマダラは食べ方も似ています。市場の中にスケソとマダラがあったら、仲買人の人たちはマダラを買っていきます。マダラの方が売れるので、われわれもそちらを仕入れてしまいます。だから魚屋さんに並ぶのは珍しいかもしれません。
食べてみたいという人はお店の人に「スケソを食べたい」と一声掛けてみてください。お店屋さんが動いてくれると思います。業界関係者に「旬の時期のスケソはマダラよりうまい」という人がいました。たぶんマダラより身質がしっかりしているからでしょう。マダラ同様、しょうゆに漬けたり、どんがら汁にして食べるとおいしいそうです。
庄内浜で捕れたスケトウダラの大半は県外に出荷され、主な行き先は新潟です。新潟では刺し身にもするそうです。新潟はかまぼこの生産地ですから、安い時はかまぼこの原料にも使うのでしょう。ほかに金沢にも出荷されています。
最近では韓国への輸出も増えてきました。キムチの材料にスケトウダラの一部を使うため、需要が多いからです。前にもお話ししましたが、スケトウダラの子が俗に言うタラコです。韓国語でスケトウダラを「明太」と書き「ミョンテ」と呼びます。それが日本では明太子に転じたのです。
国内のスケトウダラの8割が北海道で水揚げされます。以下は宮城、岩手、福島の順で、北海道、東北が上位を占めています。東北でたくさん捕れる魚なので、今後はぜひ皆さんにも食べてほしいと思います。
北海道では大根、サトイモとの煮付けのほか、サケと同じようにキャベツやニンジン、タマネギと一緒に鉄板の上で焼き、みそで味付けしたちゃんちゃん焼き、野菜と一緒に煮る塩味の三平汁などの料理法があるようです。スケトウダラの子をしょうゆで煮付ける料理もあるとか。おいしそうですね。
(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2008年6月12日付紙面掲載