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4つに大別「クロエビ」

上から南蛮エビ(アマエビ、紅エビ)、ガサエビ、本物のクロエビです

読者から「スーパーでクロエビというパックに入った小さなエビをよく見かけます。素人の目には、アマエビやガサエビを小さくしたものみたいに見えますが、そうなのでしょうか。どんな料理が合いますか」という質問をいただきました。

前回、取り上げたシタビラメと同じように、クロエビも総称的な呼び名です。スーパーで確かによく見かけるかもしれません。いろんなエビをクロエビと呼んでいるのです。

庄内浜でエビの産地として知られる鼠ケ関では、小型のエビは選別するということをしません。てんぷら用などの小さなエビをクロエビという総称で、産地市場で競りにかけます。この中にはアマエビやガサエビの小さなものが交じっています。

また、小さなサイズのアマエビや網で体に傷が付いたもの、つまり単独では売り物にならない「はじき」のエビもクロエビと呼んでいます。

一方、11月から1月にかけては正真正銘、「本物」のクロエビが水揚げされます。これとは別に、春先にコアミと一緒にクロエビと呼ぶ別のエビが捕れます。コアミの時期になると、スーパーや魚屋さんの店頭で、生きているエビを見ることがあると思います。それがこのクロエビで、ピンピンエビとも呼びます。

ここでまとめてみましょう。小さなエビをまとめた総称、11月から1月にかけて捕れる本物のクロエビ、アマエビのはじき、そしてピンピンエビ。クロエビはこの4つに大別されるのです。市場ではこれらはすべて「クロエビ」の名称で競りに掛けられ、入札されていきます。

鼠ケ関港ではアマエビの大きいもので子持ちを大、子を抱いていないもので大きいものを中、小さいものを小、そしてガサエビと4種類に分けて選別しています。これに該当しないものをクロエビと呼んでいます。漁船によってクロエビのくくりが違う場合もあります。

本来のクロエビは、トロール船、つまり底引き網漁で11月から1月にかけて沖合で捕れる茶色い小型のエビのことです。料理するなら、やはり天ぷらやかき揚げがおいしいと思います。軟らかいので頭を取り除かなくとも大丈夫です。サクサクとした食感で、口の中に残りません。ほかにお好み焼きや卵焼きに数匹入れるのもいいかもしれません。でも、かき揚げや天ぷらにして塩で召し上がるのが最高だと思います。11月になったら、魚屋さんやスーパーの店頭を注意してみてください。

庄内浜では今、トビウオがよく揚がっています。先日、紹介したように角飛(かくと)び、丸飛(まると)びとに分けた選別も始まりました。岩ガキも捕れてきていて、庄内浜が夏めいているのが分かります。

(鶴岡水産物地方卸売市場手塚商店専務・手塚太一)
2008年6月26日付紙面掲載

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