文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

医療最前線 こんにちは元気だのー 癌と生活習慣病を中心に

脳梗塞について

近藤 礼 (山形県立日本海病院 脳神経外科医長)

近藤礼医師

今回は、脳梗塞とはどういう病気か、もしなってしまったらどうすれば良いか、といった点についてお話しさせていただきます。

どのような病気か

脳梗塞とは脳に血液を運ぶ血管がつまって、脳の一部が死んでしまう病気です。最近では小渕首相や長嶋監督がこの病気になり注目を集めました。日本は世界的に見て、脳梗塞の多い国ですが、その中でも山形県は脳梗塞が大変多く、年間に約2000人もの方々が新たにこの病気になっています。

この病気の困るところは、命にかかわる場合があることはもちろんですが、後遺症が残ることが多いので、手足が動かない、しゃべられない、あるいは感覚がない、といったように生活が不自由になったり、寝たきりになる場合が多いことです。そのため脳卒中の後遺症で苦しんでいる患者さんは大変に多く、介護を必要とする最大の原因となっています。

脳梗塞の症状としては、上述の運動まひや言語障害が有名ですが、その他にさまざまな症状が出ます。しびれる、ものが二つに見える、ふらつく、めまいがする、ぼける、目が見えなくなる、などはいずれも脳梗塞で出る症状です。これらの症状は大変多彩で覚えきれるものではありませんが、症状が突然に出るということがすべてに共通する最大の特徴です。たとえば、ご飯を食べているときに突然はしを持てなくなる、酔っぱらったような話し方になる、あるいは朝起きたら手足の力が入りにくくなっていた、といった具合に、ある日突然におかしなことが起こった場合には脳梗塞を疑う必要があります。

疑いがあったら

先に述べたような症状がみられた場合には、すぐに脳梗塞ではないかと考えて、脳卒中の専門の医師にかかる必要があります。

昨年10月から日本でも「アルテプラーゼ」という薬が使用できるようになっています。この薬は血管に詰まった血の塊を溶かして血流を良くする薬ですが、大変に効果があり脳梗塞にかかった後の社会復帰率を劇的に改善できます。しかしこの薬は発症3時間以内に投与することが義務づけられていますので、症状が出たらすぐに脳卒中の専門医を受診しなければ手遅れのために投与できないのです。山形県では症状が出てから3時間以内に受診している方は、脳梗塞全体の19%に過ぎません。受診が遅れる原因はさまざまですが、「少し様子をみよう」という考えは大変危険なことです。様子をみても良くなる場合はほとんどありませんし、たとえ良くなってもそれは一時的なもので、ほとんどの場合にはその後に大きな発作がくるのです。そしてこのアルテプラーゼの恩恵にもあずかれなくなってしまうのです。

後遺症なく社会復帰するためには、早期に受診し一刻も早く適切な治療を開始することが最も必要なことなのです。県立日本海病院では時間アルテプラーゼが使用できるよう、いち早く体制を整えました。すでに後遺症なく社会復帰された方もいらっしゃいます。脳梗塞かなと思ったら日曜日でも夜中でも直ちに受診してください。

脳梗塞はかからないことが最も大切ですから、塩分を控える、適度な運動を行う、禁煙、禁酒といった正しい生活習慣がとても重要です。しかし、不幸にして脳梗塞の症状がみられた場合には、直ちに専門医を受診することが良い結果を得るためには特に大切です。

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field