2021年(令和3年) 4月23日(金)付紙面より
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東北電力(本店・仙台市)は21日、遊佐町に建設される「鳥海南バイオマス発電所」の発電事業へ出資参画すると発表した。同発電所は輸入木質ペレット(木片や木くずを円筒形に固めたもの)を主燃料とするバイオマス発電施設。発電所の出力規模は5万2900キロワット、年間の推定発電電力量は3億7000万キロワット時でバイオマス発電所としては県内最大級。2024年度中の運転開始を予定している。東北電力が専焼(1種類の燃料を用いるもの)のバイオマス発電事業に取り組むのは今回が初。
同日、東北電力山形支店(山形市)で記者会見が行われ、発電・販売カンパニー再生エネルギー事業部の白戸敏則事業企画副部長が仙台本店からオンラインで事業概要などを説明した。
東北電力によると、メガソーラーなど再生可能エネルギー事業に取り組むオリンピア(本社・東京都中央区)が2016年に設立した鳥海南バイオマスパワーが発電事業を担当する。東北電力はオリンピア、静岡ガス&パワー(本社・静岡県富士市)の2社と共同で鳥海南バイオマスパワーに出資する。出資比率は東北電力が75%、オリンピアが15%、静岡ガス&パワーが10%。
発電所は遊佐町の鳥海南工業団地内に建設する予定で、約5ヘクタールの土地に燃料倉庫や事務所、ボイラータービンなどを設置する。今年7月に土地造成など準備工事に取り掛かり、同9月に燃料倉庫の建設に着工する予定で、さらに来春には発電所本体の建設工事着工を見込んでいる。
Fit制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に基づき東北電力ネットワークに売電する。出資比率が最も高い東北電力の白戸副部長が鳥海南バイオマスパワーの代表取締役に就任する予定で、社員は7人を予定している。
白戸副部長は「国産のペレットは量が確保できないため、東南アジアや北欧産のものを使用する。バイオマス発電は安定したエネルギーを得られ効率が良いのが特長。いずれは国産のペレットを使用することや地元雇用につなげる計画もあり、脱炭素社会の構築や地域経済へ貢献できるポテンシャルを持っている」と述べた。