2010年(平成22年) 11月30日(火)付紙面より
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鶴岡シルクのブランド化に向けキビソ・プロジェクトに取り組む鶴岡織物工業協同組合(田中尹理事長)が中心となって制作した、PR用アニメーション「鶴岡サムライシルク『kibiso』」の完成披露上映会が27日夜、鶴岡市の鶴岡まちなかキネマで開かれた。約6分の短編作品で、蚕が繭を作る際に最初にはき出す糸のキビソを“主人公”に、キビソが蚕の命から生まれる糸であることを前面に打ち出した。全編にフランス語のナレーションが付き、同組合が海外向けのプロモーションで活用していく。
同組合が本年度、経済産業省の「産業技術人材育成支援事業(地域映像クリエーター等人材育成事業)」の採択を受け、鶴岡商工会議所、東北芸術工科大、アニメーション・映像企画制作のファンハウス(東京)と連携し、「キビソブランド認知向上プロジェクト」の一環で制作。監督は、CM制作のほか、作品がカンヌ映画祭監督週間で招待上映された経歴を持つ平林勇さんが務め、東北芸工大の学生らも参加し、約2カ月で完成した。
作品は、キビソで作った蚕をコマ撮りするなど、実写と手描きアニメを組み合わせた。庄内藩士が刀を鍬(くわ)に代えて桑園を開墾した史実から、鶴岡の絹産業の歴史と文化を斬新な映像で表現。命を失った後の蚕の魂が、糸や布の形で輝きを放つといったストーリーで、羽黒山山伏のほら貝の音や音楽を織り交ぜながら、鶴岡シルクの製造工程などを紹介している。
上映会には関係者や市民ら約100人が参加し、日本語の字幕付きの映像を鑑賞した。上映会を挟んで、経産省や制作の担当者、大学関係者、同組合関係者によるシンポジウムも行われた。平林監督は「鶴岡に来て、シルクが蚕の命を扱っているということを知った。生地には蚕の魂が宿っているということを伝えようと考えた」と作品の主題を説明。制作担当者は「最後に、100年後に会いましょうというメッセージを付けた。庄内藩から始まり今も生き続ける鶴岡シルクだから言えること。鶴岡という街がシルクのブランドを作っている」と解説した。