2015年(平成27年) 6月3日(水)付紙面より
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鶴岡シルクタウン・プロジェクトの一環として、市内の幼稚園・保育園や小中学校、一般らが蚕の飼育を体験するキットの配布と説明会が1日、同市羽黒町の松ケ岡本陣などで行われた。本年度は48施設などで計7500頭を飼育。秋飼育分と合わせ、育てた繭は11月に行う鶴岡中央高生による「シルクガールズコレクション」で発表するドレス生地として使われる。
養蚕から製糸、製織、精絹、染色などシルク産業に関する全産業が残る鶴岡で、地域の絹文化や歴史を理解してもらおうと、飼育体験は2010年度からスタート。本年度は秋蚕と合わせ約1万頭以上から繭を取る予定で、今回の春蚕は施設と個人から計111キット(1キット30頭)の飼育希望があり、松ケ岡開墾場にある「おカイコさまの蔵」で育てる4180頭と合わせ計7500頭を飼育。市によると、繭玉1万個で幅約1メートル、長さ50センチほどのシルク生地になるという。
この日は配布を前に本陣で説明会が行われ、元県蚕業普及員の菅原久継さんが4回脱皮する蚕の性質やクワの葉の与え方、温度管理などについて説明。「蚕は人の手を掛けて生きる生き物。食べぶりを見ながら、新鮮なクワを与えて」などと話した。
各施設を巡回する5人の飼育指導者とグループごとに顔合わせをした後、「おカイコさまの蔵」で体長1センチほどの小さな蚕とクワをセットにして配布。初めて飼育するという羽黒地域のいずみ保育園の担当者は「今年の年長児は虫が大好きなのでぜひ見せたいなと思って希望した。クワを食べて成長するのを子どもたちと楽しみたい」と話していた。
蚕は今後脱皮を繰り返し、20日ほどで糸を吐き繭を作り始める。クワの葉は3日置き間隔で各施設に届けられ、繭玉は羽化する前に回収する。
2015年(平成27年) 6月3日(水)付紙面より
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出羽三山神社の「奥の院」と称される湯殿山(1504メートル)の開山祭が1日、鶴岡市田麦俣の湯殿山神社本宮で行われ、澄み切った青空の下、県内外の参拝客が諸願成就を祈った。
湯殿山は、羽黒山と月山で修行を積んだ修験者が生きながら仏の境地に入る聖地とされ、霊湯が湧出する巨岩がご神体として祭られている。昔から「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められ、1689(元禄2)年にこの地を訪れた松尾芭蕉は「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」の句を残している。
標高1100メートル付近にある本宮付近は例年になく雪解けが進み、新緑がまばゆいばかり。午前中から白装束姿の信者らが大勢足を運び、本宮前ではだしになり祈祷(きとう)を受けた後、人形の依(よ)り代で手足を拭って汚れを取り除き、近くのせせらぎに流した。
午前11時から開山祭が始まると本宮内は参拝者で満杯状態。神官が祝詞を上げ、参拝者も三語拝詞などを唱えながら静かに手を合わせ、順に玉串をささげて商売繁盛や家内安全などを願った。3年続けて訪れているという福島県三春町の自営業、影山勝夫さん(71)は「東北の復興を願ってお参りしている。お湯が出ているご神体が本当に神が宿っているようで神聖。それに本当に御利益がある」と話していた。