2023年(令和5年) 7月15日(土)付紙面より
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2018年8月7日付の本紙が、最上川増水の様子を伝えている。酒田市の最上川河口に近い両羽橋下流で、市街地側の堤防を今にも越水しようかというほど増水している。市内では道路が冠水して一部通行止めになった。今年も九州北部や北陸で、集中豪雨によって河川が氾濫し、市街地が濁流にのまれて家屋が浸水した災害の現状を見れば、他地域の災害として捉えることはできない。
1カ月の降水量に相当する雨が短期間で降る。どれほど猛烈であるかなかなか想像できない。しかし、こうした豪雨災害は近年日本全国で発生している。一カ所にとどまって雨を降らせ続ける線状降水帯が被害を拡大させているのは、人間が地球に負荷をかけ過ぎたことで、地球が悲鳴を上げているためであろうか。
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豪雨災害のさなか、WMO(世界気象機関)は、6月の世界の平均気温が1991年から2020年の平均を約0・5度上回り、観測史上最も高くなったと発表した。海面の平均水温も高くなり、今後、異常気象の可能性はより高まるという。南極海の氷の面積も人工衛星からの観測が始まって以降、6月としては最小になった。地球温暖化と環境悪化に歯止めがかからない。
テレビのニュースには、被災地の人がスマートフォンなどで災害発生の様子を撮影した場面が流れる。「濁流の中から岩がぶつかり合う音が聞こえてきた」との報告もある。建設重機でなければ動かせない巨岩を、増水した川はいとも簡単に押し流してしまう。住宅地では30センチほどの浸水で歩くのが困難になる。となれば、自治体の避難呼び掛けがあれば、早めの行動が命を守ることになる。
今度の九州北部豪雨で気象庁は、たびたび記者会見を開いて注意を呼び掛けたが、雨量や降雨のピークが事前の予報からずれることもあるようだ。被災者が「雨がやんでやれやれと思った直後に、大量の流木が流れてきた」などと語っている。線状降水帯をつくる積乱雲が次々と発生し、気象予測を一段と困難にさせるのだろうか。
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庄内地方の天気予報を見れば雨模様の日が続き、日本海側には大雨などに関する注意報も出されている。九州北部では線状降水帯がほぼ同じ場所に停滞し続けて雨量を増大させた。そうならない事を願いつつ、万一に備えて避難する態勢だけは整えておかなければならない。
酒田市の最上川洪水ハザードマップは、最上川流域で2日間に252ミリの総雨量を想定している。もし氾濫すれば浸水深が3メートル未満、地域によってはそれ以上も想定される。市は「避難指示が出たら、速やかに避難を」と呼び掛けている。皆さんの家でハザードマップが“眠って”はいないだろうか。時には目を通し、避難場所、避難経路を確認しておきたい。