2023年(令和5年) 7月22日(土)付紙面より
ツイート
本年度中の公有化が予定されている酒田市山居町一丁目の国指定史跡「山居倉庫」の整備基本計画策定委員会の初会合が20日、同市幸町一丁目の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」で開かれた。2025年3月までの計画策定に向け、今後のスケジュールを確認したほか、事務局の市都市デザイン課が示した計画の素案、ケヤキ並木の保全などについて意見を交わした。
21年3月に国指定史跡となった山居倉庫は1893年、取引所法で定める付属倉庫として7棟を建設したのが起こり。土蔵と屋根の間に空気を通し換気を促す二重構造の屋根、強い西日や強風を避けるためのケヤキ並木など温度を一定に保つ工夫がされている。白い漆喰壁と黒い屋根瓦、1890年代に植栽されたケヤキ並木は酒田を代表する景観にもなっている。
史跡指定を受けて市は今年3月までに保存活用計画を策定。同計画に基づき整備基本計画をまとめるため、市は有識者12人で構成する委員会を立ち上げた。25年1月まで今回を含め計6回の会合を開き、事務局が示した計画素案を基に議論を重ねていく。この日は委員9人が出席。委員長に本中眞・奈良文化財研究所長、副委員長に清野誠・市文化財保護審議会委員をそれぞれ互選した後、事務局が示した素案について協議した。
このうち樹勢の衰えが指摘されているケヤキ並木の保全に関し、保存活用計画では生育障害の一因と考えられる石畳を撤去する方針を掲げており、当初は整備基本計画で方法やスケジュールをまとめ、25年度以降に取り掛かる予定だった。事務局はこの日、緊急性や広範囲に及ぶことを考慮し、樹木医の指導による回復策の検証を行った上で、試験施工として一部の撤去を前倒しする意向を示し、その内容について説明した。
議事に先立って丸山至市長は「山居倉庫の有する風情、周囲の環境保全を第一に考えてもらい、『山居倉庫ならでは』という個性ある整備基本計画にしてほしい」とあいさつした。次回会合は今年11月の予定。