2023年(令和5年) 11月30日(木)付紙面より
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耳の不自由な人たちにコンサートを楽しんでもらおうと荘銀タクト鶴岡は28日、赤外線の送受信機で音が聞くことができる「赤外線補聴システム」の初テストを行った。鶴岡工業高校の吹奏楽部(西村大和部長)が演奏した曲を聴覚障害者がシステムを使ってどのように聞こえたか確認した。試験に協力した聴覚障害者は「いつも使っている補聴器よりもよく聞こえた」「久しぶりに心から音楽を楽しめた」と感想を話した。
「赤外線補聴システム」は荘銀タクト鶴岡のオープンと同時に導入した。ホールに設置した赤外線の送信機から専用の受信機に送り補聴器で音が聞こえる仕組み。コンサート会場で設置しているのは全国でも珍しいという。
テストには視覚障害者1人を含む計5人が参加した。鶴工吹奏楽部のメンバーが「この素晴らしき世界」や「未来予想図2」「マツケンサンバ2」など計5曲を演奏。聴覚障害者が観客席の場所を変えながら聞こえ具合を確かめた。
病気で耳が聞こえにくくなり「人工内耳」を入れて生活している鶴岡市内の庄司典子さん(60)は「音が豊かだった。とても楽しかった」と笑顔を見せた。男性協力者も「低音も高音もしっかり聞こえた。障害者が楽しめる場所が一つでも増えてくれたらうれしい」と期待を込めた。
演奏を終えた鶴工吹奏楽部の西村部長(3年)は「聴覚障害者が健常者と同じようにコンサートが楽しめる社会になってほしい。テストに協力できて良かった」と話した。
荘銀タクト鶴岡では文化庁の補助を受け来年2月23日(金)に開く「ワンコインコンサートVol8 モデトロ・サクソフォン・アンサンブル」で今回テストしたシステムを使う。
荘銀タクト鶴岡の担当者は「今日が第一歩。より多くの人たちがコンサートを楽しめるよう努力していきたい」と語った。