2024年(令和6年) 4月18日(木)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡公園で16日、旧庄内藩主酒井家の居城「鶴ケ岡城」の大手門前にあった「馬出(うまだし)」遺構から出土した石の展示公開が始まった。発掘調査で検出した際と同じ配列で石を置いて遺構の様子を再現し、城址の鶴岡公園を訪れる市民や観光客に、鶴ケ岡城の歴史を伝える。
馬出は城の出入り口をふさぐように設けられた攻守両面の機能を備えた施設。鶴ケ岡城の古絵図には土塁や石垣、堀が描かれており、1622年の酒井家入部後、二の丸大手門前に、大手門築造後の1650年代頃に造られたとみられる。鶴岡公園と市役所の間の県道拡幅工事現場で2021年12月、馬出の石積みに使ったとみられる石が出土し、絵図でしか分からなかった馬出の姿の一部が明らかになった。鶴ケ岡城は戊辰戦争後の1876(明治9)年、解体された。
石は同市の金峯山で採掘された花こう岩類の「金峯石(きんぼういし)」を含め約30個出土。城の歴史を感じてもらおうと、市が遺構近くの公園内のバス優先駐車場南隣に展示スペース(約90平方メートル)を整備した。出土した状況を再現したほか、馬出の形状をイメージして石を配列し腰掛けることのできる休憩スペース、山から切り出す際などに割ったり加工した工具の鏨(たがね)の痕が残る石もあり、「鶴ケ岡城の馬出跡」の説明板も設置した。石は大きなもので縦52センチ、横95センチ、奥行き65センチ。
この日は公開に先立ちセレモニーが行われ、市の布川敦教育長が「多くの市民や観光客から城下町の歴史を身近に感じてもらいたい」、市文化財保護審議会の植松芳平会長が金峯山中腹から切り出した石を今の青龍寺川を使って舟で運んだ歴史を紹介し、「先人たちが残したものを未来につなげるのが私たちの役目」とあいさつし、観光関係者も加わりテープカットした。
2024年(令和6年) 4月18日(木)付紙面より
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鳥海山の中腹を通り遊佐町と秋田県にかほ市を結ぶ山岳観光道路「鳥海ブルーライン」(延長約35キロ)で、大型連休前の開通を目指し除雪作業が急ピッチで進められている。
県から作業受託した丸高(本社・酒田市)の村上忍・工事主任によると、今季の積雪量は場所によってばらつきがあり、雪質は軟らかく重いという。ロータリー除雪車、ブルドーザーそれぞれ2台とタイヤドーザー1台の計5台を使い先月27日に作業を開始した。
同町の松永裕美町長らが16日、県境まで約1200メートル地点で行われた作業を視察。ブルドーザーで雪の壁を崩し、それをロータリー車が谷側に勢いよく吹き飛ばした。あと3~4日で県境まで達する見通し。その後、ガードロープの設置など交通安全対策を施し、26日に予定される一般開放に備える。
松永町長は「鳥海山は町のシンボル。訪れる大勢の観光客に愛されるよう、引き続き努力していく」と話した。
2024年(令和6年) 4月18日(木)付紙面より
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鶴岡、酒田両警察署は「沿岸警備モニター」を導入した。庄内浜沿岸地域に住む住民を「警備モニター」に委嘱し、密航や密漁、不審船、漂流物に関する情報を提供してもらう。16日に両警察署で委嘱状交付式が行われ、管内の警備モニター計59人に協力を要請した。
これまで庄内沿岸には北朝鮮籍とみられる木造船が漂着したり、大量の注射器が砂浜に打ち上がるケースが起きた。警備モニターは漁師や各自治振興会の代表者などで構成。海岸線を熟知している利点を生かし、普段と変わった点はないか警察と連携を密にする。
警備モニターは鶴岡署管内が33人、酒田署管内が26人。鶴岡署の交付式で京野匡署長は「過去になるが昭和48年に鶴岡市三瀬海岸に上陸した密航者を検挙した事例もある。皆さんと共に沿岸の警戒網をつくり市民生活を守りたい」とあいさつした。委嘱を受けたモニターは密航や密漁に関して担当署員の説明を受けた。
酒田署の交付式では小川広治署長が「2021年から23年までの間、庄内沿岸では5件の不審船漂着に関する通報があった。今後も庄内沿岸の警戒を強めることが必要」と協力を求めた。
モニターに委嘱された酒田市宮野浦コミュニティ振興会事務局の菅清二さん(76)=高見台二丁目=は「海岸の安全に向けて警察と一致協力していきたい」と話した。
2024年(令和6年) 4月18日(木)付紙面より
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山形市の東北芸術工科大学文化財保存修復研究センターは、文化財の内部を立体的に観察できるエックス線CT撮影装置を導入した。国内の芸術系大学での導入は初。同大が行う鶴岡市の善寳寺五百羅漢像の修復プロジェクトや地域の文化財調査などに活用される。本格的な運用開始を前に16日、報道機関向けに装置が公開された。
同大がこれまで文化財調査で使っていたエックス線透過撮影装置の老朽化に伴い、導入した。対象物を回転させながらエックス線を照射して撮影し、モニター上で3D表示させた状態で内部観察ができる。平面で撮影していた従来の装置と比べ、技法や材質、劣化状態がより判別しやすくなり、精度の高い修復が可能になる。今回の導入で、善寳寺の五百羅漢像の頭部に打たれている彫刻の基準となる錐点(きりてん)の位置関係や深さなどが新たに分かったという。
この日、同センターで行われた内覧会で、五百羅漢像の修復に携わる同大の笹岡直美准教授は「錐点の位置が正確に分かったことは非常に大きな成果。修復に合わせて技法の調査にも取り組んでいきたい」と話した。
同大は2015年に善寳寺の五百羅漢像の修復プロジェクトをスタート。23年度末までに531体中144体の修復が完了している。本年度は10―15体を修復する予定。