2025年(令和7年) 5月7日(水)付紙面より
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鶴岡市羽黒町高寺の雷電神社(松平修宮司)に伝わる民俗芸能「高寺八講」(県指定無形民俗文化財)が4日、同神社の春例祭で奉納上演された。大勢の見物客が訪れ、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る演舞に見入った。
高寺八講は鎌倉時代の古典芸能の流れをくむ貴重な古典芸能として、1976(昭和51)年に県の文化財に指定された。「八講」の名称は、法華経の講義を意味する「法華八講」に由来するといった説や、「演目がかつて八番あった」など諸説ある。明治時代半ばまでは現在より多くの演目があったというが、今は4演目を伝承している。
子どもから大人までの演者らが地区内を練り歩き、神社拝殿で祈祷(きとう)を受けた後、境内の八講楽殿に上がり、勇壮な「薙刀(なぎなた)舞」や全国でも一部でしか舞われていない貴重な「大小舞」が披露された。メインの「花笠舞」は、色鮮やかな花を差した四角い花笠をかぶり、ササラや扇を手にした6人の舞い手が独特の所作で豊作を願う田楽舞を奉納した。
「ジャッ、ジャッ」とササラの音が響く中、境内を訪れた地元住民らが舞台を見つめ、大勢のアマチュアカメラマンが盛んにシャッターを切っていた。最後に子どもたちによる稚児舞も行われた。
隣接する下馬渡地区から3歳の息子ら家族で訪れた小林亮大さん(38)は「近所の子どもが稚児舞に出るので初めて見に来た。華やかな舞を高寺地区でずっと守り伝えてきたことに驚いた。息子もいずれは稚児舞を舞うことになると思う」と話していた。