2025年(令和7年) 01月18日(土)付紙面より
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下水汚泥を資源にした肥料「つるおかコンポスト」の利用拡大に向け、鶴岡市は関係者による利用促進検討委員会を立ち上げ14日、市ごみ焼却施設・つるおかエコファイアで初会合を開いた。市は、老朽化に伴い改築を進めている汚泥資源化施設・コンポストセンターの2027年度の稼働開始を見込んでおり、新センターではコンポスト生産量を現行の3倍に増やす計画。増産後の利用拡大、販売先確保に向け検討を進める。
新センターは、現センター近くの市鶴岡浄化センター(宝田三丁目)敷地内に整備する。鉄骨造り平屋建て約3500平方メートルの施設で、設計、土木・建築工事、機械・電気設備工事とメンテナンスを含めた一式の事業費は約34億円。年度内に着工し、27年度の稼働開始を予定している。
現センターは老朽化により稼働率を制限して生産量を減らしており、汚泥発生量の3割程度の活用にとどまり、コンポストを年530トン生産。供給不足となっているという。新センターは発生量のほぼ全量を活用して1620トンの生産を目指す。
新センター稼働に合わせ市は、国が国内資源の利用拡大のために23年10月、新たに定めた規格「菌体りん酸肥料」の登録を目指す。成分が保証され、他の肥料との混合も認められることから、地域内の農家に限らず肥料メーカーへの原料としての供給も可能となる。さらに施肥が容易になるよう、コンポストのペレット化も検討。本年度から2カ年で国の補助金約2000万円を活用し、製品化への実証実験を行い、だだちゃ豆畑約1・5ヘクタールで生育状況なども検証している。
新センター稼働に向けた利用促進検討委員会は、県や山形大農学部、鶴岡と庄内たがわの両JA、コンポスト利用農家など委員10人で組織。26年度まで年2、3回の会合を開き、コンポストの利用拡大や販路拡大、販売価格などを検討するほか、菌体りん酸肥料の登録、製品のペレット化について協議する。
2025年(令和7年) 01月18日(土)付紙面より
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山形大は16日、現行の地域教育文化学部を改組し2026年4月の設置を目指す「教育学部」について、当初予定を変更し、教員養成に特化した1課程のみにすると発表した。当初は教員養成のほか、教員免許取得を卒業要件としない、臨床心理やスポーツ、食を学ぶコースの設置も予定したが、教員不足などを受けた文部科学省の方針を踏まえ、構想を見直した。
新たな教育学部の入学定員は145人。当初の165人から減るが、教員養成課程は25人増やす。設置するコースは小学校60人、中学校45人、理数系25人で、子どもの心の問題に的確に対応できる教員の養成として心理支援系15人を追加する。当初より減った20人の定員枠は人文社会科学部と理学部に10人ずつ割り当てる。
山形市の同大小白川キャンパスで開いた記者会見で、構想の変更について、玉手英利学長は「教育は国の発展の礎になる。大学としてしっかり教員養成をやっていくことを明確にする覚悟を示し、そういうメッセージを伝えていく」と語った。
山形大には1949(昭和24)年の開学当初から教育学部があったが、県内高校生の県外への進学の増加などを踏まえ、隣県の宮城教育大、福島大との教員養成課程の再編・統合協議を経て、教員養成特化の学部を2004年度に廃止するとともに、05年度に地域教育文化学部を設置。26年度に復活させる。
2025年(令和7年) 01月18日(土)付紙面より
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人が減り続ける現実を突き付けられる。県知事選の有権者数が発表されたが、庄内5市町計で前回知事選時から1万2434人も減った。有権者数は東根市の前回比15人増を除き、他の34市町村で減っている。中でも庄内の減り方が、全県平均を上回っている。庄内は魅力のない地域ではないのに、なぜこうも人が減り続けるのだろうか。
一方、県の総人口も年内に100万人を割るとの予想だ。2024年12月1日現在で100万8775人だが、毎月約1000人のペースで減っていることで、25年度中に100万人を下回りそうだ。地方の活力の源は人口にあるとされながら、現実は人口の都市流出が止まる気配がない。
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庄内の有権者の減少数(かっこ内は減少率)は▽鶴岡5459人(5・13%)▽酒田4480人(5・16%)▽三川269人(4・38%)▽庄内1226人(6・86%)▽遊佐1000人(8・46%)。政府は14年に打ち出した地方創生政策で、移住促進や政府機関の地方移転などを掲げたものの、成果が見られたとは言い難い。その一端が有権者減少という数字にも表れている。
地方の人口減少の背景として、進学などで首都圏に出たまま帰ってこないことが指摘されている。就職環境の格差もある。大手保険会社は26年4月入社の大卒初任給を転勤に同意する場合、現在の月額28万円を最大41万円にする、大手衣料メーカーは春から新入社員の初任給を33万円に、入社1~2年目の新店長は41万円にするという。大手メガバンクや総合商社などでは20万円台後半から30万円台が一般的とされる。
大都市圏の大企業の待遇大幅アップは、優秀な人材を確保するためとされる。経済活動を反映したもので仕方のない一面があるとしても、地方の企業は大企業のような賃金体系を導入することはなかなか難しい面もある。都市と地方との格差が広がり、給料体系の「二極化」が進むことで、進学で首都圏に出たまま故郷に戻ってこない人離れが加速するばかりだ。
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民間組織「日本創生会議」が、全国896自治体を消滅可能性都市と位置付けた。人口減少で働き手や消費者が少なくなれば、自治体は行政サービス運営を維持できなくなる恐れがあり、医療や年金などの社会保障制度の維持も困難になることを指したものだ。地域社会の縮小である。
政府は30年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとし、児童手当や育児休業給付の拡充などの異次元の少子化対策を推進する方針だ。しかし、優秀な人材を大都市圏の企業が好待遇を示して獲得するようになれば、地方との格差拡大は避けられない。庄内の若者たちも地元の魅力探しなどをしているが、そうした活動のさらに上を行く大都市圏の動きが地方にのしかかっている。