2005年(平成17年) 7月31日(日)付紙面より
ツイート
自動車解体などの「青南商事」(本社・青森県弘前市、安東国善社長)が酒田市の酒田臨海工業団地で進めていた廃自動車リサイクル関連の工場が完成し、29日から操業を開始した。1つの建屋内で廃自動車の解体から破砕、選別を一括して行うシステムとしては国内でも最大規模という。県内一円から廃自動車を集め、スクラップは中国や韓国などに輸出していく。
同社は自動車リサイクル法(今年1月施行)を視野に2003年春から、東北6県の中で唯一拠点のなかった本県への立地を模索。同年4月に酒田港が国土交通省の総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)の指定を受け、県や市がリサイクル関連企業の誘致を働きかけていたこともあり、同年11月に県と酒田臨海工業団地の分譲契約を契約、昨年8月から専用岸壁とともに「酒田支店」として工場の建設を進めていた。
立地場所は北港の専用第5号岸壁(ふ頭の延長約200メートル)。敷地約3・7ヘクタールに、延べ床面積が約1・6ヘクタールの工場を建設した。工場は廃自動車を解体する「アルトレック酒田」と、廃棄物を破砕・選別する「酒田工場」で構成されている。
アルトレック酒田では廃自動車を年間約1万5000台解体し、中古部品を生産。酒田工場では、アルトレック酒田と他の業者から持ち込まれる廃自動車約4万台と廃棄物約1万5000トンを破砕して鉄スクラップ、非鉄スクラップ、廃プラスチックに選別する。年間約6万トンのスクラップを生産し、専用岸壁から船で中国、韓国に輸出する計画。従業員約50人はすべて地元から採用した。
操業初日のこの日は工場見学会が開かれ、地元の自動車工場の関連業者らが、H鋼も瞬時に切断するというシュレッダーや、センサーで鉄、非鉄を選別するという最新技術の選別プラントなどを見学した。
同社の安東元吉専務は「中国や韓国のほか、将来はインドなども視野に入れて輸出していく。港から直接積み出せる施設をもつ意義は大きい」と話していた。
操業を開始し、大勢の見学者が訪れた青南商事酒田支店の工場