2021年(令和3年) 5月19日(水)付紙面より
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酒田市の南平田小学校(加賀谷成秀校長)の5年生30人が18日、学校近くの実習田で絣(かすり)の着物に「ハンコタンナ」を着けるなど伝統的な装束で田植えを体験した。
1993年から毎年、同市飛鳥の農業、土田治夫さん(60)の水田10アールを借り、5年生が総合学習の一環で実施している。この日は男子は網代笠、女子は絣の着物にモンペ、顔を覆う黒い布「ハンコタンナ」を着けた。土田さんから「苗は5、6本ずつ植えると、枝分かれして増える。多く植え過ぎると、細くなって倒れやすくなる」など注意点を聞いた後、素足で田んぼに入った。
青空が広がる絶好の「田植え日和」となる中、児童たちは怖々とした表情で一歩ずつ泥の中を進み、県産ブランド米「つや姫」の苗を丁寧に植えていった。補給用の苗を投げてもらうと、田んぼの泥が飛び散り、児童たちの「きゃー」という歓声が響いた。保科美月さん(10)は「大変だったけど、楽しかった。早くこの米を食べてみたい」、伊藤愛斗君(11)は「手植えは初めての体験。田んぼの中は動きづらかった」とそれぞれ話した。
指導した土田さんは「この行事も29回目。これまで約1400人が体験し、中には親子2代でという人もいるはず。先輩たちの思いを後輩に引き継いでもらえたら」と話した。今後、児童たちの意見を聞きながら稲の観察など学習を進め、10月には手刈りによる稲刈りとくい掛け、足踏み式脱穀にも挑戦する予定。