2022年(令和4年) 2月3日(木)付紙面より
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本県唯一の有人離島・酒田市飛島に高速インターネット網を整備する市の「飛島情報通信基盤事業」が完了し1日、市役所本庁舎と飛島を結んで開通セレモニーが行われた。飛島―遊佐町吹浦間に光ファイバーケーブルを敷設したもの。開通によって市内全域が大容量・高速通信網で網羅され、市は遠隔診療、防災など島民へのサービス向上はもとより、第5世代移動通信システム(5G)の普及を見据え、鳥海山・飛島ジオパークや野鳥などの研究施設の誘致、観光客や移住希望者の増加にもつなげたい考え。
事業は吹浦―飛島間約31キロの海底に光ファイバーケーブルを敷設。島内の回線整備を含め事業費は約22億2600万円で、NTT東日本山形支店(山形市、渡会俊輔支店長)が整備業務を委託した。「これほど長い海底ケーブル敷設は東北では初」(渡会支店長)という。飛島の通信はこれまでADSL(非対称デジタル加入者線)だったためダウンロードに比べてアップロードの速度が遅い上、通信状態が天候に左右されることもあり、オンラインツアー・会議など実施時には途中で途切れるケースがあった。今回の整備で、天候に左右されず、より鮮明な画像・音声で通信ができるようになる。
開通セレモニーは市役所本庁舎と市とびしま総合センターをテレビ電話で結んで行われた。丸山至市長と渡会支店長による「飛島に光を!」の掛け声に合わせて島民がコネクターをつなぎ合わせると、ADSL回線に比べ、より鮮明な光回線による画面が現れ、両会場からは「おー」という歓声が上がった。
丸山市長は「開通で環境は整った。今後はどう活用していくかが課題。活性化し、注目される飛島になることを期待する」、渡会支店長は「トラブルなく開通することができ何より。大切なのはこれから。飛島の魅力を発信することで活性化に役立ててほしい」とそれぞれ述べた。
飛島で開通に立ち会ったとびしま未来協議会の松本友哉会長(34)は「本土並みの通信速度になったということは何でもできるということ。飛島からの映像配信やオンラインツアー・会議がやりやすくなる。未来が見えてきた」と話した。
飛島では現在、情報通信技術(ICT)などの新技術の実装を図る国土交通省「スマートアイランド推進実証調査」として、同支店や市、同協議会などで組織する「飛島スマートアイランド推進協議会」(代表団体・同支店)が、島内における交通・物流手段、サービス提供の充実など目指すためスマートフォンなどを活用した「スマート・オーダーシステム」の構築を目指している。