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2022年(令和4年) 3月29日(火)付紙面より

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洋上風力発電関連事業参入セミナー 事例基に経済波及効果学ぶ(酒田)

 遊佐町と酒田市の沖合への導入が検討されている洋上風力発電の事業化を見据え、地元企業などを対象に、建設、保守などそれに関わる仕事内容について紹介する「洋上風力発電関連事業参入セミナー」が23日、同市のホテルリッチ&ガーデン酒田で開かれ、先行する秋田県、海外の事例を基に、主催者が経済波及効果などについて解説した。

 酒田港周辺の陸上で風力発電事業を展開する企業3社で組織する酒田港風力発電事業者協議会(会長・加藤聡加藤総業社長)と県が主催したセミナー。本県では現在、遊佐町沖が「有望区域」として、再エネ海域利用法に基づき国や県、町、漁業関係者らによる法定協議会が設立され、事業開始に必要な3段階のうち最終となる「促進区域」指定に向けた議論が進められている。

 一方、環境影響評価(環境アセスメント)などの調査研究について、初期段階から政府や自治体が関与し、迅速・効率的に風況などの調査を行う仕組み「日本版セントラル方式」の実証実験の対象海域となった酒田市沖に関しては先月、「県地域協調型洋上風力発電研究・検討会議」の酒田沿岸域検討部会を設立、初会合を開いた。

 セミナーでは最初、同協議会の担当者が洋上風力発電事業の概要と本県沖での整備計画について紹介。先行する秋田県に関して経済効果は3820億円、3万7000人の雇用を創出と試算し、「洋上風力関連産業は輸送の制約、効率性重視により、適地近傍に集積する傾向が強く、地元・国内への経済波及効果が期待できる」と述べた。遊佐町沖における地元業務として「今後30年にわたる事業のため、地元企業の協力は必要不可欠。基礎・据付、変電設備工事をはじめとした建設、点検を中心とした維持管理など陸上・海上を問わず、多彩な仕事が必要となる」と強調した。引き続き製造業、建設・保守管理の両分科会に分かれ、それぞれ担当者の話を聞いた。

協議会と企業3社
市に200万円を寄贈

 酒田港風力発電事業者協議会と、同協議会を構成する企業3社は23日、発電収益の一部など計200万円を酒田市に寄贈した。市は人材育成、産業振興などに役立てる方針。

 同協議会は、酒田港一帯で風力発電事業を行っている加藤総業(同市、加藤聡社長)、コスモエコパワー(東京都、野地雅禎社長)、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、同、竹内一弘社長)の3社が2017年に設立。連携して洋上を含む風力発電事業や再生可能エネルギーの普及・推進に向けた啓発活動などに取り組んでいる。

 今回は3社が50万円ずつ、協議会が50万円を拠出。この日は加藤社長と野地社長、JREの安茂会長らが市役所を訪問。丸山至市長にそれぞれ目録を手渡した。加藤社長は「酒田市、酒田港の発展に向けて今後の力になりたい」とあいさつ。丸山市長は「酒田市沖での導入に向けた検討が始まった洋上風力事業に期待している。大切に使わせてもらう」と謝辞を述べた。

洋上風力発電事業に関わる業務について紹介したセミナー=ホテルリッチ&ガーデン酒田
洋上風力発電事業に関わる業務について紹介したセミナー=ホテルリッチ&ガーデン酒田

目録を受け取る丸山市長(左から2人目)=酒田市役所
目録を受け取る丸山市長(左から2人目)=酒田市役所


2022年(令和4年) 3月29日(火)付紙面より

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「酒田県」設置と明治政府 鶴岡郷土史講座 門松公益大准教授が解説

 鶴岡市郷土資料館の郷土史講座が26日、市立図書館で開かれ、東北公益文科大の門松秀樹准教授が「『酒田県』の設置と明治政府」と題して講演した。明治維新直後に庄内藩の一部などを管轄した新政府の「第1次酒田県」について、「民衆の強い反発などで新政府は統治に失敗したが、これは第1次酒田県特有の問題としてではなく、近代化をめぐる政府内の路線対立など維新後の地方統治をめぐる問題の一つの事例として俯瞰(ふかん)的に捉える必要がある」と述べた。

 第1次酒田県は、1868(慶応4・明治元)年9月の庄内藩による戊辰戦争降伏により、政府が庄内藩領の酒田など最上川北部3郡を没収して政府直轄地を管轄する機関として69年に設置された。税負担の増大に反発した農民による反乱「天狗騒動」などもあり、酒田の経済力を握ろうとした統治は破綻した。

 門松准教授は、当時の新政府内にあった維新後の「近代化」に対する木戸孝允や大隈重信を中心とする「急進派」と、西郷隆盛や大久保利通ら急激な改革に否定的だった「漸進派」による路線対立が背景にあったと指摘。優勢だった急進派は政府の財政基盤強化を狙い、内政を管轄する民部省と財政を管轄する大蔵省を合併した。だが、公家出身で第1次酒田県の知事だった大原重実は知事としての地方官が「徴税官」を担うことに批判的な立場を取るなど、同様の考えを持つ地方官が多くいたことなどを挙げた。

 門松准教授は「大原は父を通じて岩倉具視に宛てた意見書で、庄内藩酒井家の統治を評価していた。政府の方針とは異なるとしても、旧慣を尊重した方が、より円滑な統治が可能ではないかと考えていた」と解説。こうしたことが、旧庄内藩重臣による「第2次酒田県」の実質的な統治につながったとした。

 郷土史講座は庄内の幕末維新史をテーマに開催。門松准教授は日本政治史などが専門で、昨年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で時代考証を担当。講座には市民約50人が参加した。27日には岩立将史中央大文

学部兼任講師が「薩摩藩邸焼き討ち事件とその関係者の評価」と題して講演した。

戊辰戦争直後の「第1次酒田県」と明治政府の関連について講演した門松准教授=26日、鶴岡市立図書館
戊辰戦争直後の「第1次酒田県」と明治政府の関連について講演した門松准教授=26日、鶴岡市立図書館



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