2023年(令和5年) 11月22日(水)付紙面より
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第20回全国藩校サミット文京大会が18日、東京都文京区の文京シビックホールで開かれた。庄内からは旧庄内藩主酒井家18代当主の酒井忠久さん(致道博物館名誉館長、日本美術刀剣保存協会長)、致道館文化振興会議(会長・橋本政之荘内日報社社長)の役員・会員が参加、藩校教育の伝統や精神を現代の人づくりやまちづくりに生かす思いを新たにした。
藩校サミットは2002年に東京・湯島聖堂で全国から16藩校が参加して第1回が開かれ、一般社団法人漢字文化振興協会などが毎年、藩校ゆかりの地で開いている。07年には庄内藩校「致道館」のある鶴岡市で第6回大会が開かれた。その後、東日本大震災で見送られた年もあり、20回記念大会は第1回の湯島聖堂がある文京区で21年目の開催となった。全国から徳川宗家をはじめ旧藩51藩の当主らと40藩校の関係者ら合わせて約1200人が参加した。
式典では参加藩が北から紹介され、山形県からは庄内藩のほか山形藩、新庄藩、米沢藩が参加。酒井さんら当代当主ら51人が紹介された後、代表して徳川宗家19代当主で大会会長の徳川家広さんが「世界で争いがある中で、日本が先進国の中でも最も恵まれているのは、江戸時代後期の教育のたまもの。漢籍に学んだ藩校の実績を(藩校サミットで)検証することは平和な未来への第一歩になる。藩校教育は今の日本のバックボーン・背骨になっている」とあいさつした。
藩校活動の紹介では、サミット式典前に開かれた藩校会議で昌平坂学問所(江戸幕府)、致道館など3校の発表が紹介され、藩校名が現代の高校名にも使われ「藩校教育そのものも引き継がれているようだ」とされた。
大会宣言では「藩校が育んだ人材によって、わが国の平和と発展が築かれた。平和で豊かな未来のために、漢字文化の素晴らしさを世界に向けて発信」など日本語と英語で発表された。
最後に、次期大会開催地の盛岡藩(岩手県)に引き継ぎ書が手渡された。
致道館文化振興会議の橋本会長は「各地の藩校がその土地、その時代を担う人材を育てたことを改めて学んだ。来春、鶴岡市に開校する県立中高一貫校の名称は『致道館』。かつての藩校教育の精神も引き継いでいってほしい」と話した。