2024年(令和6年) 5月16日(木)付紙面より
ツイート
障害者の就労環境の向上や自立支援をサポートする就労継続支援B型事業施設「みんなのサラダ」が鶴岡市大塚町にオープンした。鶴岡初の屋内水耕栽培施設の快適な環境の中で葉物野菜を栽培、出荷し、障害者工賃の向上を目指す。
みんなのサラダは、ギフト販売などを手掛けるNCR(奈良県橿原市、堤誠治代表取締役)が指定障害福祉サービス事業者となり、鶴岡市のみづほ産業の荻原拓哉社長らが管理者を務めている。一昨年、酒田市こがね町二丁目に開所した「すこやかワクワーク」の板垣卓渡所長らの協力を得てノウハウを学び、設備にも改善を加えるなどした。
ここで作る野菜は室温が22度前後に保たれた無菌の室内に、幅3・5メートル、奥行き60センチほどの棚を40個設置。無農薬でサニーレタスや水菜、サンチュなどの葉物野菜十数種類を栽培。種まきから1カ月ほどで収穫でき、水で洗わずにすぐ食べることができる。現在は、障害がある4人が、支援スタッフと共に収穫や袋詰めなどの作業を行っており、最終的には20人ほどを受け入れる予定だという。工賃は、2023年度の山形県の障害者工賃の月額目標1万4500円を上回る2万円以上を目指す。販売先は飲食店や卸売業者などを想定し、現在は野菜のおいしさを知ってもらう認知活動を行っている。今月末までにEC(電子商取引)サイトを立ち上げ、全国からの注文にも応じる予定。さらに影響力のある料理研究家らにも協力を呼び掛けている。
11日の開所式ではNCRの西沢実行(のりゆき)常務理事が「ストレスなく育った野菜はとてもおいしい。障害者の働く意欲と社会性やスキルの向上を目指し、笑顔と感動が生まれる場所になるようスタッフと共に頑張りたい」とあいさつ。内閣府特命担当大臣の加藤鮎子衆院議員の祝辞代読などの後、テープカットした。実際に野菜を摘んで食べた参加者は「みずみずしくておいしい」「立ったまま収穫ができて便利」と話していた。