2012年(平成24年) 1月19日(木)付紙面より
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前日に引き続き穏やかな天候となった18日、鶴岡市今泉の磯場で岩ノリ摘みが行われた。しけ続きで今冬はまだ2、3回しか収穫に出ていないという中、久しぶりの晴れ間に地元の女性たちが岩にびっしりと付着したノリを手際良くむしり取った。
岩ノリは日本海の荒波に洗われる波打ち際の岩に付着する。庄内地方では雪が舞う季節に採れることから「雪ノリ」とも呼ばれ、例年は12月から2月末までが収穫期。正月の雑煮や寒ダラ汁に欠かせない味覚として知られている。しかし、近年は12月末ごろまでノリが付着せず、2月に入ると採れなくなるなど収穫期が短くなっているという。原因ははっきり分かっていないが、県漁協などによると「夏場の猛暑で冬になっても海水温があまり下がらないためではないか」という。
18日午前は晴れ間が広がった。庄内浜の波高は1メートル前後で、海が久しぶりに穏やかな様子を見せた。今泉地区の磯場では数人の女性が防寒具に身を包み、岩ノリ摘みを行った。同地区で岩ノリ収穫のまとめ役の齋藤歳子さん(83)は「年末に1回、今年に入ってから今日で2回目と、この冬は海が荒れて岩ノリ摘みがなかなかできず、収穫量は例年より落ち込みそう。収穫に参加する人も年々少なくなっている」と話しながら、波が寄せる磯でノリを手際良くむしり取っていた。