2023年(令和5年) 7月9日(日)付紙面より
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SDGsを先取りした山形庄内の好事例を世界へ―。山形大学(玉手英利学長)の「留学生科学技術体験プログラム」が庄内を中心に行われた。ベトナムの短期留学生が講義や実習を通し、「誰一人取り残さない」をキーワードに、庄内の公益の精神文化を学んだ。
日本で初めて学校給食を始めたとされる佐藤霊山など庄内の先人の取り組みを留学生に伝えようと企画。今回は大学間交流協定を結んでいるベトナム国立農業大学(ハノイ)の学生5人が参加した。
プログラムは3日から始まった。このうち6日、酒田市浜中の八重浜近くのクロマツ林で行われた野外実習ではベトナム留学生が、江戸時代に庄内の先人が貴重な私財を投じて整備したクロマツ林の歴史と砂防の役割について学んだ。講師として参加した山形大学の林田光祐副学長は「風害や塩害から守るクロマツ林のおかげで庄内砂丘の農業が成り立った。庄内にとって大きな恩恵を受けたといえる。先人が築いた大切な遺産を後世に残していかなければならない」と話した。
参加したミン・ダンさん(21)は「クロマツ林の役割について知り、とても興味が湧いた。いろいろなことを学び、有意義な留学経験にしたい」と語った。
7日は文化体験として国宝に指定されている鶴岡市の羽黒山五重塔を視察。山大准教授を講師に「観光消費と精神文化」の講義を受けた。5人は8日に帰国。