2006年(平成18年) 1月17日(火)付紙面より
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国宝に指定されている羽黒山五重塔(鶴岡市手向)で16日、雪下ろしが行われ、出羽三山神社職員らが屋根に積もった2メートル近い雪を払った。
羽黒山五重塔は、承平年間(931―938年)に平将門が建てたとするものなど建立には諸説があるが、東北最古の塔とされている。高さ25メートル、三間五層の「<柿葺素木(こけらぶきしらき)造り」の荘厳な姿で、1966年に国宝に指定された。
雪下ろしは、雪の重みから国宝を守る重要な作業で、冬の羽黒山の風物詩の一つ。今年は、昨年12月中旬からの大雪で、1月半ばですでに各層の屋根は1・5メートル―2メートルの積雪となり、例年2月中旬に行っている作業を約1カ月早めた。
この日は午前9時から同神社職員や委託業者の作業員7人が作業を行った。塔の中のはしごを使って最上階などの屋根に上り、腰に命づなを巻いての作業。地上約24メートルの最上階では塔のてっぺんにある九輪に命づなを結び、スコップで雪を取っては下に落としていた。同神社職員は「この時期でこれほど雪が積もっているのは近年ない」と話していた。
五重塔周辺は真っ白な雪に覆われてシンと静まり返り、雪が落ちる「ドスン」という音だけが杉木立の中に響き渡っていた。
静かな杉木立に雪下ろし作業の音だけが響いた