2024年(令和6年) 4月28日(日)付紙面より
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「力合わせ 夢を持って」
将来ビジョン策定地域運営目指す
過疎化が進む地域の農地保全、集落における基本的な生活機能の維持・強化を図る「農村型地域運営組織(農村RMO)」の形成を目指し酒田市日向地区で25日、地域の関係団体・企業が「日向ふるさとづくり協議会」を設立した。農村RMO形成に向けた取り組みを行う協議会の設立は県内初。協議会は地域の将来ビジョンを策定した上で、農地の粗放的利用、有害鳥獣被害対策などに取り組みながら2026年度までの形成を目指す。
農村RMOは、近隣の複数の集落が手を取り合って集落機能を補完し、さらには非農家や企業などとも連携しながら地域全体で農用地保全活動や農業を核とした経済活動、生活支援まで行う新たな仕組み。RMOは「Region Management Organization」の頭文字を取ったもの。「地域で支え合うむらづくり」を掲げて農林水産省が形成を推進している。
同省、日本農業振興会制定「豊かなむらづくり全国表彰事業」の「農林水産祭むらづくり部門」で2022年度、日向コミュニティ振興会(小松幸雄会長)が「農林水産大臣賞」を受けた。市八幡タウンセンターで昨年2月に行われた祝賀会の席上、講演した弘前大人文社会科学部の平井太郎教授が「農村RMO」について解説。これを受け日向コミ振はさらなる高みを目指し、県庄内総合支庁、市との情報交換、先進地視察を行うなど協議会設立を検討してきた。
同市の日向コミュニティセンターで開かれた設立総会では、協議会参画の日向コミ振や地元の農業・NPO法人、酪農など計13団体・企業の代表らが出席。規約・細則など承認、小松会長を協議会長に選出した。
規約によると、農村RMOを形成し地域コミュニティの維持・強化のため、まずは▽将来ビジョンの作成▽将来ビジョンに基づく調査・計画策定▽将来ビジョンに基づく実証試験―などを展開する。農用地保全部、地域資源活用部、生活支援部の3専門部会を設置。具体的な事業としては高齢者も活用できるアプリの開発、冷涼な環境でも生産可能なクランベリーの栽培、耕作放棄地聞き取り調査などに取り組む。県と市、東北公益文科大学、市社会福祉協議会、NTT東日本、無印良品酒田POP―UP STOREなどがオブザーバー「ふるさとづくりサポーター」として活動をサポートする。
小松会長は「みんなが力を合わせ、夢を持ってビジョンを策定し実行に移していきたい」と話した。県によると、同市大沢地区でも来月以降、同様の協議会が設立される予定という。