2017年(平成29年) 9月12日(火)付紙面より
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鶴岡市黒川地区の黒川能(国指定重要無形民俗文化財)と同市山五十川の山戸能(県指定無形民俗文化財)を上演する野外能楽「せせらぎの能」が9日夜、同市あつみ温泉の朝市広場で行われ、県内外から訪れた能楽ファンが幽玄の世界に浸った。
温泉街散策が楽しめる温海川右岸沿いの「かじか通り」が完成したことを記念し、地域活性化を図ろうと、自治会や観光協会、商工会などで組織する「あつみ温泉魅力づくり推進委員会」(斎藤徹委員長)が2010年から毎年この時期に開催している。例年温海川にせり出す特設舞台で上演していたが、今年は朝市広場の活性化とより身近で鑑賞してもらおうと朝市広場へ舞台を移して行われた。
午後6時半の開会セレモニーに続いて山戸能の「座揃囃子」「恋慕の舞」「番能・春日龍神」、黒川能の「土蜘蛛(ぐも)」が上演された。笛や太鼓の音色が響く中、出演者たちは躍動感ある舞を披露。土蜘蛛の精と独武者たちの戦いの場面では、観客たちが息をのむように見入って、上演が終わると大きな拍手を送っていた。
仙台市から夫婦で訪れた高野忠志さん(72)と橋さん(70)は「初めて見た。素晴らしくて感無量。こんなに身近で見られてとても良かった」と話していた。