2018年(平成30年) 1月17日(水)付紙面より
ツイート
酒田市の酒田共同火力発電(千葉秀樹社長)は、同市宮海の酒田北港の同社石炭埠頭(ふとう)に「津波避難塔」を建設し16日、同市との間で一時避難施設として活用するための協定を締結した。津波襲来時に同社の荷役作業員のほか、一般の釣り人や周辺住民らも避難できる。
津波避難塔は、2016年3月に県が公表した新たな津波浸水想定図に基づき、同社が建設した。同想定で石炭埠頭の周辺は、20センチ以上の津波の到達時間(酒田港)が8分、津波最高水位(宮海)が11・6メートル、津波浸水深が5―6メートルとなっており、避難塔は「浸水深5メートルで、100人程度が厳冬期の1、2日程度避難する」という想定で建設した。
建設現場は、釣りのメッカとなっている「温排水」東側の埠頭。塔は鉄骨造り3層構造2階建てで、床面積は141平方メートル。避難室には最大で100人、屋上を含めると200人程度が避難できる。避難室床面の高さは地上9・2メートル(海抜12・7メートル)、屋上は同12・1メートル(同15・6メートル)。避難室には避難待機室のほか、備蓄保管庫や救護室・更衣室などを整備。屋上には太陽光発電パネル(蓄電設備22キロワット程度)を設置し、備蓄品としてカセットボンベ式暖房器具、発電機、簡易トイレ、保存食、飲料水、毛布などを備えた。
この日、市役所で行われた協定締結式では丸山至市長と千葉社長が、避難塔を市の一時避難施設として活用するための協定書に署名した。丸山市長は「現場周辺は釣り人が多く、津波対策が課題だったが、避難塔に避難できるように対応してもらい、ありがたい」、仙台在勤時に東日本大震災を経験したという千葉社長は「津波発生時はいち早く高いところに避難することが重要。埠頭で働いている人や釣り人らの役に立てればうれしい」と話した。
石炭埠頭は、同社の火力発電の燃料となる石炭を荷揚げするための埠頭で、稼働時は30人前後が荷役作業に当たっている。津波襲来時は従来、北方約1・6キロの同社社屋に避難する想定だったが、今回の避難塔建設でより安全に避難できるようになる。