2020年(令和2年) 1月12日(日)付紙面より
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国交正常化前の1972年1月に初めて訪問して以来、半世紀近くにわたって中国と友誼(ぎ)を深め続けている新田嘉一平田牧場グループ会長のこれまでの交流・実績、中国に対して思うことなどを紹介した記事が、中国共産党中央委員会機関紙「人民日報」1月8日付に写真入りで掲載された。中国成立70周年を記念した同紙特集企画の一つで、新田会長は「半世紀近い交流、そして実績を人民日報から高く評価してもらった」と話している。
新田会長が初めて中国を訪問したのは、当時の田中角栄首相が電撃訪中し、周恩来首相と国交回復の調印を交わす8カ月前。88年には畜産技術指導のため黒龍江省に招かれた。同省政府と渡り合い92年、飼料用トウモロコシ運搬のため、同省ハルビン市からロシアとの国境地帯も抜ける松花江、アムール川、日本海を経て酒田港に至る全長2800キロにも及ぶ「東方水上シルクロード」を開設した。
一方、同省「ハルビン国際貿易商談会」の発展に大きな貢献があったとして2009年、当時、省長を務めていた、習近平国家主席の側近中の側近とされる栗戦書氏(全国人民代表大会常務委員長=国会議長)から同省「功勲章」を受けた。昨年には中国・大連市との交流発展に貢献したとして同市が制定する特別賞「アカシア友誼賞」を受賞した。
昨年10月、人民日報の劉軍国・東京支局長の取材を受けた新田会長は訪中の歴史、東方水上シルクロードの開設、栗氏はじめ中国の要人・友人とのエピソード、今後の日中関係などについて述べた。
8日付紙面ではイタリア、パキスタン、韓国の人たちと共に掲載。「中国人民はさらに多くの奇跡を創造する」と題した記事では「70周年を迎え、中国の国力は大幅に向上、人民の生活も安定して富んだ生活を送っている。多くの人は素晴らしい成就に驚きを覚え、巨大な成功の秘密を探し始めている」「中国の友人は熱情的で善良であり、誠実で約束を違わない。私が大病を患った時、消息を聞き付け、飛行機でお見舞いに駆け付けてくれた」「中国に行くたびに中国の学生諸君らの勤勉な姿に心を打たれる。真面目に励み、探求心が旺盛だ。教育事業の重視こそ、中国が巨大な発展を成し遂げた重要な原因と思っている。中国共産党の指導の下、中国人民がさらに多くの奇跡を創造すると信じている」=対訳・岸高三さん(龍山交易)=など、談話形式でまとめている。
長年にわたる中国との交流を振り返って新田会長は「中国では『水を飲む時は井戸を掘った人のことを忘れない』という教えが徹底されている。信義に篤い国。われわれも誠意を持って接しなければいけない」と話し、「人民日報からこれまでの交流・実績を評価してもらい、ありがたい限り。現在の世界情勢は中国抜きには考えられない。民族性、文化性を大切にしている国こそが中国で、全て教育のたまもの。これらは今の日本に欠けているものかもしれない」と続けた。