2007年(平成19年) 4月5日(木)付紙面より
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温泉の廃湯を利用して種もみを発芽させる芽出し作業が、鶴岡市湯田川の鶴岡市農協湯田川支所で始まった。
廃湯を使った芽出しは、江戸時代後期の1848(嘉永元)年に当時の湯田川村の大井多右衛門が始めたとされ、地元の由豆佐賣神社に功績をたたえる石碑が残されている。現在は温泉街北側のコンクリート水路に催芽場を設け、廃湯を引き込んでいる。
各農家が事前に袋詰めして10日ほど水につけておいた種もみを、催芽場で32―33度のお湯に約12時間浸した後、廃湯の上に渡した板に載せコモをかけ、さらに12時間ほど蒸して発芽を促す。機械を利用した芽出しに比べコストが安く、発芽が均一になるなどのメリットがあるという。
作業は今月1日に開始。4日までは平均1・3トンの種もみを午前8時半と午後1時の2回にわたり、お湯に浸す作業が進められた。5日以降は午前5時からの作業が加わる。
同支所によると、今年も庄内一円と新潟県山北町などの農家約1000戸から、はえぬきを中心にコシヒカリ、ひとめぼれなどが持ち込まれ、計200トン超の種もみが取り扱われる。作業は今月いっぱい続けられる予定で、約25トン前後が持ち込まれる11―14日ごろにピークを迎える。25日以降は直播きの種子を取り扱うという。
温泉の湯に満たされた催芽場に、種もみを詰めた袋が次々と浸された