2007年(平成19年) 4月17日(火)付紙面より
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旧武家屋敷の庭園を眺めながら藤沢周平作品を読み、海坂(うなさか)藩のイメージを思い描こうという「まちなか朗読会」が14日、鶴岡市家中新町の菅家で開かれた。 菅家は、旧庄内藩の重臣・菅実秀が、藩主の酒井家から拝領した御用屋敷。庭園の築山には樹齢350年の老松やしだれ桜、ツツジなどが植栽され、江戸中期の作庭様式がそのまま保存されている。庄内地方では指折りの遠州流の名園といわれている。
今回の朗読会は、長い時をへてたたずむ旧武家屋敷の建築空間を多くの人と共有し、海坂藩の世界に浸ってもらおうと、つるおかルネサンスの会(大河内恭仁子代表)が菅家の協力を得て企画した。
この日はあいにくの雨模様となったが、鶴岡市を中心に酒田市などから藤沢作品の愛好者合わせて約30人が出席した。元NHKチーフアナウンサーで荘内日報論説委員の中里欣一さんや、大河内代表など会員たちが「潮田伝五郎置文」「山桜」の藤沢作品2編を朗読した。
静かな会場で風景イメージ
「霧がある。…」といった印象的な場面から始まる「潮田伝五郎置文」は、恋のために因縁の相手と決闘することになり、その結果自決の道を選んだ青年藩士の姿を描いた作品。
時折、雨風の音だけが聞こえる会場に静かな朗読の声が響き、参加者たちは海坂藩の風景に思いを馳せていた。
旧武家屋敷の菅家で藤沢周平作品の朗読会が開かれた