2010年(平成22年) 11月30日(火)付紙面より
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鶴岡市小真木原野球場(愛称・鶴岡ドリームスタジアム)の10周年を記念するベースボールシンポジウムが27日、鶴岡市のグランドエル・サンで開かれた。ソウル五輪などに出場した社会人野球の元選手らを講師に迎え、野球の技術や精神面にかかわる講演やパネルディスカッションが繰り広げられた。
鶴岡野球連盟(澁谷益生会長)主催。小学生から高校生までの球児や指導者、保護者、一般市民など合わせて約650人が出席した。
シンポジウムは午後3時に開会し、はじめにバルセロナ五輪代表で元三菱重工長崎監督の小島啓民さんが「世界の野球は今」の演題で講演。「日本野球は勤勉さ、練習方法の創意工夫などの面で優れる。選手一人一人が戦術、役割を理解し、助け合う半面、個の力は弱い。体格で劣るためパワー不足で、トレーニングが不可欠」と解説した。
続いて、小島さんと西正文さん(ソウル、バルセロナ五輪代表)、高見泰範さん(バルセロナ五輪代表、元東芝監督)、杉浦正則さん(バルセロナ、アトランタ、シドニー五輪代表、日本生命前監督)の4人がパネラー、日本野球連盟副会長の川島勝司さんと元NHKアナウンサーの西田善夫さんがアドバイザーとなり、パネルディスカッションが行われた。
ステージの上では杉浦さんが「腕の振りやすい方向」、高見さんが「捕手のキャッチング」などについて、聴講の小中学生をモデルに解説。また、地元の中学校指導者の「選手のどんな能力を伸ばしていけば良いのか」といった質問に対し、川島さんが「選手は育てるものではなく、育つもの。理にかなった指導も確かに必要だが、選手が努力する方向へ導いてあげることが大事」と語った。
28日は鶴岡ドリームスタジアム室内練習場で、前日のパネラー4人が講師となり、市内の中高生に強化実技講習を行った。
このうち午前の中学生の講習には、鶴岡野球連盟野球教室に通う約40人が参加。投手指導では杉浦さんから腕の振り方、足の位置、体重の乗せ方などについて、一人一人丁寧に指導を受けた。生徒の汚れたスパイクに、杉浦さんが「それでいいと思うか。駄目だと思うならすぐ行動を」と練習に臨む心構えをただすシーンもあった。
2010年(平成22年) 11月30日(火)付紙面より
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鶴岡シルクのブランド化に向けキビソ・プロジェクトに取り組む鶴岡織物工業協同組合(田中尹理事長)が中心となって制作した、PR用アニメーション「鶴岡サムライシルク『kibiso』」の完成披露上映会が27日夜、鶴岡市の鶴岡まちなかキネマで開かれた。約6分の短編作品で、蚕が繭を作る際に最初にはき出す糸のキビソを“主人公”に、キビソが蚕の命から生まれる糸であることを前面に打ち出した。全編にフランス語のナレーションが付き、同組合が海外向けのプロモーションで活用していく。
同組合が本年度、経済産業省の「産業技術人材育成支援事業(地域映像クリエーター等人材育成事業)」の採択を受け、鶴岡商工会議所、東北芸術工科大、アニメーション・映像企画制作のファンハウス(東京)と連携し、「キビソブランド認知向上プロジェクト」の一環で制作。監督は、CM制作のほか、作品がカンヌ映画祭監督週間で招待上映された経歴を持つ平林勇さんが務め、東北芸工大の学生らも参加し、約2カ月で完成した。
作品は、キビソで作った蚕をコマ撮りするなど、実写と手描きアニメを組み合わせた。庄内藩士が刀を鍬(くわ)に代えて桑園を開墾した史実から、鶴岡の絹産業の歴史と文化を斬新な映像で表現。命を失った後の蚕の魂が、糸や布の形で輝きを放つといったストーリーで、羽黒山山伏のほら貝の音や音楽を織り交ぜながら、鶴岡シルクの製造工程などを紹介している。
上映会には関係者や市民ら約100人が参加し、日本語の字幕付きの映像を鑑賞した。上映会を挟んで、経産省や制作の担当者、大学関係者、同組合関係者によるシンポジウムも行われた。平林監督は「鶴岡に来て、シルクが蚕の命を扱っているということを知った。生地には蚕の魂が宿っているということを伝えようと考えた」と作品の主題を説明。制作担当者は「最後に、100年後に会いましょうというメッセージを付けた。庄内藩から始まり今も生き続ける鶴岡シルクだから言えること。鶴岡という街がシルクのブランドを作っている」と解説した。