2010年(平成22年) 11月7日(日)付紙面より
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酒田市の松原小学校(今野修校長、児童549人)で5日、「ボールルーム(社交)ダンスin松原」が開かれた。5、6年生計185人が、元日本チャンピオンペアの華麗な踊りを観賞。また、プロの講師から社交ダンスの基礎を受講した後、実際にステップを踏み、ダンスの楽しさを知った。
日本ボールルームダンス連盟が、ダンスのデモンストレーションを行うアスリート、国内トップクラスのプロ講師、地域のダンス指導者らで「学校キャラバン隊」を組織、笹川スポーツ財団の助成を受けて10年ほど前から毎年、全国の小中学校を10校程度訪れ、講習会を開催している。
松原小では、同市一番町でイケダダンス教室を主宰する池田武吉同連盟山形支局長を講師に招き、3年前まで授業に社交ダンスを取り入れていたことがあるため今回、学校キャラバン隊の来校を要請し実現した。
同連盟学校学習創造支援プロジェクト委員の村澤武志、島輝子両講師、同プロジェクトアスリートで統一全日本選手権優勝などの大村淳毅・和田恵ペア、県内一円のプロインストラクターとアマチュア地域指導員ら合わせて約50人が来校した。
最初に大村・和田ペアが「チャチャチャ」「ジャイブ」を披露。子供たちからは「思ったより激しい動きで、すごい」などの声が上がった。続いて村澤、島両講師の指導で、子供たちがチャチャチャのリズムに合わせて手拍子を打ったり足踏みする練習。慣れると指導員らと向かい合って互いの手を取り、一緒に踊った。6年生の阿部颯君(12)は「リズムに合わせるのが難しかった。でもだんだん踊れるようになって楽しかった」と感想。
最後に大村・和田ペアが再び登場し「ワルツ」「タンゴ」をそれぞれ優雅、情熱的に踊り、世界大会でも数々の入賞を果たした表現力とスピードを余すところなく披露した。村澤講師は、きちんとしたあいさつと正しい姿勢を保つことの大事さを語り掛け、「機会があったらぜひ、踊ってください」と呼び掛けた。
6年生の本間夏樹さん(12)が児童を代表して謝辞。「とても楽しい1時間になりました。ありがとう」と述べた後、片足を引いて軽くひざを折る西洋式のお礼を行い、キャラバン隊からも大きな拍手を受けた。
2010年(平成22年) 11月7日(日)付紙面より
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庄内町西野地区に伝わる伝統芸能「西野神楽」で、約40年間にわたり途絶えていた演目「凸兵衛(でこべえ)・亀さん」が復活し6日、町立余目第一小学校の収穫祭で披露された。
西野神楽は、地区の鎮守・皇太神社の春の祭典(近年は4月第1日曜日)で病魔退散などの願いを込め奉納されてきた。同町茗荷瀬地区から習ったとされ、現在は西野神楽保存会(石井秀夫会長)が神子舞、天狗舞、獅子舞、剣舞、跳ね雑魚(ざっこ)などを演じている。
「凸兵衛・亀さん」は、おかめとひょっとこが掛け合う漫才風のこっけいな演目で、神社のほか、地区内の家々を回る門付けも行う。せりふが多い上、掛け合いのテンポが速く、熟練の技が必要という。神楽全体の継承者が減ったこともあり、昭和40年代半ばを最後に演じられていない。
そうした中、地区の青年らが「経験者が元気なうちに復活させないと消えてしまう」と危機感を募らせ、今年2月から動き始めた。幸い台本は残っていた。経験がある石井会長らから、笛や太鼓のメロディーを思い出してもらいながら習った。演じ手の負担を軽くして観客にも分かりやすくするため、時間は5分ほどに短縮し、せりふは現代風にアレンジした上、ナレーターがしゃべる方式とした。復活に当たっては、荘内銀行ふるさと創造基金の助成を受けた。
この日は児童や保護者のほか、大勢の地区住民も訪れた。神楽保存会の約15人が登場し、児童の神子舞、剣舞に続き、青年2人が「凸兵衛・亀さん」を演じた。額におできができたため祈とうを受けにきた凸兵衛が、亀さんととんちんかんなやりとりをする展開に、会場はどっと沸いた。
復活の中心となった舞踏家で農業、阿部利勝さん(53)は「これなら大丈夫と手応えを感じた。来年4月の例祭で演じたい」と伝統文化継承への決意を新たにしていた。