2010年(平成22年) 2月20日(土)付紙面より
ツイート
「紅の花ふる里再生協議会」(会長・黒田昌裕東北公益文科大学長)が主催した会席膳披露会が18日、酒田市の料亭・香梅咲で開かれた。庄内地域一円の旅館・飲食店関係者が、紅花を使った料理の数々に舌鼓を打った。
同協議会は、紅花など伝統産物の復興を地域再生に結び付けようと、公益大の教職員・学生、一般市民が集い昨年3月に結成。現在の会員は約30人。紅花の栽培推進や栽培者の育成を随時行っているほか、これまでに健康に関するシンポジウム、創作料理の試食会を開催している。
同協議会事務局長の平松緑公益大教授によると、紅花には美白効果や老化防止、生活習慣病予防などの効能があるという。今回の披露会は、庄内地域一円の旅館・飲食店関係者に対し紅花を使用した料理の数々を提案、実際に店で提供してもらい地域活性化に結び付けようと企画した。
会席膳は、協議会理事12人のアイデアを基に香梅咲が考案した全9品。▽紅花とかぶの酢の物▽紅花粉入りのこんにゃく▽紅花染めのウド▽紅花若菜の油炒め―などのほか、牛肉には若菜を添え、ご飯にはふりかけ状にした紅花を掛けた。
この日の披露会には約70人が参加。1品ずつ丁寧に味わった参加者たちは「いろいろなアイデアを見ることができ参考になった」「紅花粉入りこんにゃくというアイデアが楽しい」「花びらは黄色、若菜は緑色と色合いがきれいに出るのが面白い」「華やかな色付けに利用できる」などと感想を話した。
食事に先立ち、平松教授が紅花の効能について解説。「紅花には抗酸化作用がある。花びら、葉、茎、種とすべて食べることができる健康食品」と述べた上で、「提案したもののうち1品でも店で出すことになったら協議会として幸い。提供店舗が増えることで、県の医療費が下がることにも期待したい」と語った。
2010年(平成22年) 2月20日(土)付紙面より
ツイート
鶴岡市は新年度、先端バイオ技術を生かした新しい産業の集積を目指して設置している「鶴岡市先端研究産業支援センター」(鶴岡メタボロームキャンパス)を拡張する方針を固めた。研究機関などが入居する現在の施設が満杯の状況の中で、さらに入居を希望する企業や研究機関も多く、施設の拡張が検討されていた。拡張部分の施設は今年秋ごろにも着工し、2011年夏ごろの利用開始を想定。慶應義塾大研究推進センター(東京)の出先事務所も入居し、首都圏などの研究開発型企業の立地誘導に向けたコーディネート活動を展開する。同大先端生命科学研究所の世界最先端の研究を核に、世界的なメタボローム研究の拠点形成に拍車をかける。
支援センターは06年6月、県立鶴岡中央高そばにある先端研バイオラボ棟の北側隣接地に開設された。鉄骨造り一部2階建て、延べ床面積3700平方メートル。先端研、慶大発ベンチャー企業のヒューマン・メタボローム・テクノロジーズとスパイバーの2社、独立行政法人理化学研究所などが入居している。既存施設については本年度、国の科学技術振興機構の地域産学官共同研究拠点事業の採択が決まり、同機構が約11億円で施設増築と研究機器の整備を行うことになっている。
市は、同機構の事業採択を受け、施設の拡張整備に一体的に取り組む方針を固め、産業化への展開を視野に入れ、企業や研究機関のさらなる集積誘導を図る。拡張用地は現在の支援センター北側隣接地の約1・5ヘクタールで、鶴岡市開発公社が公共用地として先行取得済み。ここに現在の施設とほぼ同じ規模の新施設を整備する。大手製薬メーカーや試験機器メーカーなどが以前から鶴岡への進出を探っていたこともあり、こうした企業などが拡張施設に入居するものとみられる。拡張施設も既存施設と同様に貸し研究室として有料賃貸となる。
拡張施設には企業などのほか、慶大研究推進センターのサテライトオフィスも入居する予定。同センターは企業などとの研究開発、実用化研究のマッチングコーディネートを専門に行っている機関で、産業界に持つ幅広いネットワークを生かして研究開発型企業やベンチャー企業の立地誘導のコーディネート活動を展開する。また、メタボローム解析の分析設備も増強される見通しで、先端研が有する世界最先端のメタボローム技術を高度化し、世界でも圧倒的な競争力を持つ拠点として企業誘導の魅力を高めていく。
拡張整備の総事業費は用地取得費を含め16億円規模とみられ、市は関係事業費を盛り込んだ予算案を3月定例市議会に提案する見通し。