2011年(平成23年) 10月27日(木)付紙面より
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県教育庁主催の「『山形の宝』案内人育成講座―仏像の見方を学び、仏像の魅力に迫ろう!」が25日、鶴岡市羽黒町手向地区などで行われた。県内各地の観光ボランティアガイドなどが参加し、寺社に祭られた仏像のいわれなどを聞きながら、歴史のロマンや仏像の魅力を学んだ。
同講座は県が進める「山形の宝」育成事業の一環。身近にある文化財資源を「山形の宝」として知り、守り、将来に伝えていくことを目的に初めて企画された。本年度は「仏像」と「漆」をテーマに2講座が開かれる。このうち仏像講座は先月18日に県庁での座学と山形市平清水の平泉寺での現地研修が行われ、今回が2回目。
この日はあいにくの雨模様となったが、山形市を中心に南陽市や東根市、尾花沢市、地元庄内などから各地の文化施設職員と観光ボランティアガイド、旅行会社関係者など30人余りが参加。出羽三山歴史博物館を見学した後、同市羽黒町手向の正善院(島津慈道住職)の黄金堂(国指定重要文化財)を訪問した。
黄金堂に祭られた33体の観音像の前で、参加者たちは同寺関係者から「黄金堂には33体の観音像が祭られており、中央の3体が坐像、両脇に15体ずつ立像が並んでいる。観音様が無数に住まう補陀落(ふだらく)山を象徴的に表すもので、羽黒山が観音浄土であることを示すもの。仏師が違うので1体ずつの顔は微妙に異なるが、いずれも左手に蓮華(れんげ)を持ち右手を添えている。この姿は慈覚大師が比叡山延暦寺内に創建した横川中堂本尊の聖観音菩薩像と同じもの」という解説を聞いた。
また、境内にある「お竹大日堂」を見学。江戸時代に実在したとされる出羽国羽黒山ろく出身の奉公人・お竹が神格化された「お竹大日如来」を見学した。
県教育庁の担当者は「いま、全国的に仏像に関心を持つ『仏女』が増えているという。この機会に多くの県民が仏像の魅力を知り、観光ガイドに生かしてもらえれば」、山形市で観光ボランティアガイドを務めている50代男性は「普段は見ることができない仏像を拝見し、とても興味をそそられた。貴重な体験ができた」と話していた。
一行は黄金堂の後、東源寺(鶴岡市西目)を訪問した。「漆」をテーマにした育成講座は来月17日に開かれる予定。