2012年(平成24年) 12月28日(金)付紙面より
ツイート
酒田市は27日、同市若竹町一丁目のホテルリッチ&ガーデン酒田(熊谷芳則社長)と、「津波避難ビル」としての指定に関する協定書を締結した。庄内沿岸に津波警報が発令された場合、地域住民らが同ホテルに安全に避難できるようにすることが目的。市は今後、「津波避難ビル標識」を掲示するとともに、協定を結ぶ全23ビルの位置も記した防災ガイドマップを年度内に全戸配布し、津波避難ビルの周知を図る。
市はこれまでも、酒田港や最上川河口付近の高い建物を津波避難ビルとして使用させてもらえるよう所有者らに要請。一定の理解は得ていた。
その中で県が、昨年3月の東日本大震災を教訓に見直した津波浸水域予測図を今年3月に発表。同市の場合、同ホテル周辺では最大5メートル浸水することが予測されるなど、浸水域が拡大し浸水深もより深く修正された。
近くに高台のない住民の関心が高まったことから市は、避難者が施設などに損害を与えた場合は市が賠償するなどの内容を盛り込んだ協定書を、津波避難ビルの指定に内諾してもらったビル所有者らと交わし、万が一の際に備えることにした。
先に締結を済ませた山形銀行若浜町支店(若浜町)、ロイヤルネットワーク(浜田一丁目)に次いで3施設目になる同ホテルは鉄筋コンクリート造り9階建て。2006年8月にグランドオープンした。
この日は、丸山至副市長らが同ホテルを訪問。「津波避難ビルに対する地域要望が非常に多い。協力に感謝申し上げる」とお礼を述べた。協定書に押印した熊谷社長は、「津波から避難するには高い建物でないと駄目と分かった。地元でホテルを経営しており、避難場所として協力できればと思った」と語った上で、今後は避難者を受け入れる場合の対応などを市などと詰めていく考えを示した。
市では、内諾を得た施設所有者らと順次協定書を交わし、最終的に23施設を「津波避難ビル」に指定する。