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2012年(平成24年) 6月12日(火)付紙面より

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森の時間53 ―山形大学農学部からみなさんへ―

森を創るという仕事 ―木材の生産効率の表現法―  平  智

 森はいったい何のために、誰のためにあるのでしょうか。

 地球規模で起こりつつある行き過ぎた温暖化が心配されるなか、激しすぎる気象変動が私たちの日常生活を脅かすことが多くなってきました。そのような状況のもと、森林の果たす役割の大切さが再認識されています。

 森の木々たちは、温暖化の主な原因とされる大気中の二酸化炭素を積極的に吸収して固定してくれます。そればかりか、私たち動物が生きるのに必要な酸素も供給してくれるのですから、何よりもかけがえのない存在です。

 ですから、私たちは、家を建てるのに必要な木材を生産するためだけに木を植えるのではなくて、多種多様な生きものたちが暮らす地球の環境を保全するためにも、森を創る、いや、森が育つのを手助けする責務があるといえるでしょう。

 昨秋、「森の旅」で訪れたシュヴァルツヴァルト(黒い森)の中のとある集落の中庭で、とてもユニークなディスプレーを見かけました(写真)。50?60センチ角で、長さが7?8メートルの木材。一見ベンチのようにも見えますが、そうではありません。2011年が「国際森林年」であったことを意識して行った展示だそうです。

 正面にドイツ語で何か書かれています。日本語に訳すと、「私たちの町(村)の森では、このサイズ(体積)の木材を生産するのに2・6時間かかります」。

 …一瞬、このサイズの木材を切り出して製材するのに2・6時間かかるという意味なのかなと思いましたが、そうではありませんでした。この森で実際に、この体積の木材が育つのに2・6時間必要であるということだそうです。

 自分たちの市町村が所有する森林の木材生産の能力をこんな形で説明したり、実感したりすることが日本ではあるでしょうか。少なくとも私にはすごく新鮮で印象的な表現法に思えました。

 建坪がなん坪の木造建築の家を一軒建てるのにこのくらいの量の木材が必要です、という計算をすることはあるでしょう。でも、ドイツ流のこのような木材生産効率の表現法を使えば、人ひとりが一生を過ごすために必要な酸素の消費量を保障するための木材の量や、それをその地域の森で生産するのに要する時間などを実感することができるでしょう。

 さらに、自分たちが暮らす地域の森によって、人が生きるのに必要な酸素を自給自足するとすれば、何人くらいの人を養うことができるのかを知ることができます。

 私たちが暮らす鶴岡の森は、果たしてどのくらいの効率で木材を創り、何人養える力を持っているのでしょうか。

 今年も10月下旬にドイツの森歩きを楽しむ9日間(シュヴァルツヴァルト=黒い森=の森歩きとドイツ最高峰)に出かける予定です。

(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)

ヴァンデルンク(森歩き)コースの途中で見かけた生産効率を表現する木材のディスプレー(2011年10月25日筆者撮影)
ヴァンデルンク(森歩き)コースの途中で見かけた生産効率を表現する木材のディスプレー(2011年10月25日筆者撮影)



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