2012年(平成24年) 6月26日(火)付紙面より
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「SLうまさぎっしり庄内号」の出発式が24日、酒田市のJR酒田駅で行われた。黒光りする蒸気機関車「C57―180」号をひと目見ようと大勢の家族連れや鉄道ファンらが詰め掛け、プラットホームは大混雑。午前10時すぎ、おなかに響くような大きな汽笛とともに黒煙を噴き上げて動きだした庄内号を、手を振って見送った。
この列車運行は、4月から今月末まで開催するキャンペーン「庄内花紀行―なごみの旅」のクロージングイベント。羽越本線の村上駅(新潟県)と酒田駅を往復し、沿線の停車各駅でその土地の特産品を振る舞う。
今回は前日昼すぎに村上駅を出発。庄内に入ってからは、あつみ温泉、鶴岡、余目の各駅に止まり、エビ汁、サクランボなどのサービスを受けた。酒田駅には午後4時半に到着。歓迎セレモニーが行われ、地酒や鳥海高原ヨーグルトなどが振る舞われた。
24日は午前9時半すぎから酒田駅3番線ホームで出発セレモニー。SLとわが子のツーショットをカメラに収めようという家族連れらでごった返す中、真島裕酒田観光物産協会副会長が「これだけの笑顔を乗せてSLが走る。素晴らしいこと。来年も来てほしい」とあいさつした。
本間正巳副市長、中村浩之JR東日本新潟支社営業部長、太田政宏シェフら「食の都庄内」親善大使などがテープカット。遊佐町のゆるキャラ「米(べい)?ちゃん」や、SLをバックにした酒田舞娘(まいこ)との記念撮影会、子供たちを対象にしたC57の運転席体験などが行われた。
午前10時16分、小池義孝酒田駅長と大瀧太一県庄内総合支庁産業経済部長が出発合図。同時に大きな汽笛が鳴らされ、酒田囃子(ばやし)の太鼓演奏が流れる中、SL特有の「シュッシュッ」という息遣いのような蒸気音とともに、ゆっくり走りだした。
家族5人で見学に来たという大川凜さん(9)=泉小4年=は「SLを見たのは初めて。煙がもくもく出てすごい。できたら乗ってみたい」と話していた。
一方、SL庄内号には、鶴岡駅前商店街振興組合(石橋政士理事長)が実施した乗車券プレゼント企画の当選者8組16人も乗車し、鶴岡―村上間のSL小旅行を楽しんだ。
組合加盟店で1000円以上の買い物ごとに応募用紙1枚を出し、188件あった応募の中から、抽選で23日と24日に4組ずつ招待した。当選し、24日の上りに乗車した鶴岡市末広町の親子連れは「ゆっくりと運行してもらったおかげで、海を見ながらのんびりと蒸気機関車の旅を楽しむことができた」と喜んでいた。