2012年(平成24年) 12月27日(木)付紙面より
ツイート
昭和初期に鶴岡銀座通りに建てられた「旧恵比寿屋本店小池薬局」(現・鶴岡飲料本町倉庫、鶴岡市本町一丁目)について、観光資源としての活用の可能性を探りながら後世に伝えていこうという動きが始まった。来年1月20日には鶴岡銀座通りで開かれる「日本海寒鱈(かんだら)まつり」に合わせ、この建物を休憩所として開放するとともに、建物の歴史に関する講演会や写真展を開き、活用に向けた機運を高める計画だ。
東北公益文科大の高谷時彦教授らの調査によると、旧恵比寿屋本店は建設当時、世界的に流行していたアールデコ様式が採用されている。鶴岡ではおそらく初めて、鉄筋コンクリート造りのラーメン構造(柱と梁(はり)を一体化した構造)を採用した建物という。
また、店頭には、東京・上野の老舗薬局「守田寳丹本店」が、万能薬「寳丹」の特約店に配った同薬の看板がある。恵比寿屋と同じころの1928年に建てられた寳丹本店の建物もアールデコ様式が採用されており、符合点が多いという。
この建物の活用と保存に向けた取り組みを行っているのは、今年7月に立ち上がった鶴岡食文化創造都市推進協議会(会長・榎本政規会長)の鶴岡食文化産業創造センター。歴史的価値が高く、市全体の財産、観光資源としての活用が期待されることから、その詳しい歴史や、歴史的建造物を使ったレストランなど活用の可能性を調べている。
1月20日は「昭和建築を愉(たの)しむin旧恵比寿屋本店」と銘打ち、鶴岡飲料の協力で内部を公開する。午前11時からは「エビスビルと寳丹?薬と建築の二都物語」と題して、高谷教授と、同大学公益総合研究センター学外研究員の國井美保さんが講演する。
また、正午から午後3時までこの建物を休憩所として開放し、中を自由に見学してもらう。午前10時半―午後3時は建物の写真展も行う。
高谷教授は、現在の寳丹本店ビルを設計した縁で、旧同本店ビルについても詳しいという。講演では時代を越え、二都市のアールデコ調のビルの歴史がひもとかれる。
問い合わせは鶴岡食文化産業創造センター=電0235(29)1287=へ。