2014年(平成26年) 3月30日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡市上山添の櫛引すこやかセンター(佐藤優所長)に「移動茶室」がお目見えし、デイサービスを利用するお年寄りたちが連日、茶席の雰囲気を楽しんでいる。移動茶室は鶴岡工業高校建築科の生徒が製作したもので、くぐり戸や床の間もある本格的な構造。同センターでは「普段は体験できない、ゆったりした和の雰囲気を味わえて利用者たちが喜んでいる」と話している。
移動茶室は、同市の別の福祉施設に鶴工高が貸し出した経緯があり、今回佐藤所長が同校に「利用者を楽しませたい」と依頼した。25日午前、同校の生徒6人と引率教員がセンターを訪れ、センター内のくしびき高齢者生活福祉センターに設置した。柱などははめ込み式で、1時間ほどで組み上がったという。
茶室は高さ約2・2メートル、4畳半の広さ。仕切り板を立てれば3方向が壁になる。同センターの依頼を受けた江戸千家所属の高橋美保さん(66)=鶴岡市大部町=が道具を持ち込み、連日午後のおやつの時間に合わせて利用者に抹茶を振る舞っている。
床の間には高橋さんが持ち込んだ季節の花や掛け軸が飾られ、和やかな雰囲気。利用者やセンター職員が茶室で畳の上に座ったり、茶室の前で椅子に座ったりして思い思いに茶席を体験した。中には「初めて抹茶を飲んだ。風味があり苦くなくておいしい」と笑顔を見せるお年寄りもいた。
佐藤所長は「めったにできないお茶の席を体験でき、みんな喜んでいる。鶴工の生徒たちに感謝したい」と話していた。移動茶室は31日まで同センターに設置される。