2015年(平成27年) 12月1日(火)付紙面より
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鶴岡市の出羽三山神社の松例祭で使われる「厄綱」の綱打ちが29日、同市羽黒町荒川の農業、加藤忠志さん(68)方で行われた。地元有志でつくる東荒川綱奉納会(丸山豊彌会長)のメンバーが力を合わせて綱をより合わせ、長さ約28メートル、直径約15センチの太綱に仕上げた。
松例祭は出羽三山神社で大みそかから元日にかけて行われる火祭り。疫病をもたらすツツガムシに見立てたわらを燃やして、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災などを願う。同奉納会は毎年、ツツガムシに巻く厄綱の「追廻し」を奉納している。
この日は、13人の男衆が綱打ちに参加。3本の綱の隙間に、わらをより合わせて作った「ヨメ」を次々と差し込み、太い1本の縄に締め上げる作業を黙々と続けた。
厄綱は午前中で完成。形を整えた後、同日夕方、出羽三山神社に奉納された。
丸山会長は「今年はわらが青くていい出来になった」と話していた。
2015年(平成27年) 12月1日(火)付紙面より
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関東圏や内陸で高い評価を受けている庄内特産「庄内おばこサワラ」の勉強会が28日、鶴岡市立加茂水族館のレストラン「魚匠ダイニング 沖海月(おきみづき)」で開かれた。身が柔らかいサワラを脱水、熟成することで、うまみが増す方法を地元漁業者たちが学んだ。
庄内おばこサワラは、地元漁業者17人でつくる庄内おばこサワラブランド推進協議会(鈴木重作会長)がブランド化を進めている。「神経抜き」という独特の技法を用い、傷みやすいサワラを通常のものより1週間から10日も高い鮮度を維持できる。身が熟成するとうまみが増すため東京・築地などの市場では1キロ2000円超の高値で取引されている。
一方、もともと身が柔らかく調理人の後処理によっては身割れを起こし、せっかくの商品が生かし切れない場合もあるという。今回の勉強会は、商品としての庄内おばこサワラの特徴を漁業者自身が理解し、熟成方法などをPRして品質向上、販路拡大を目指すもの。
勉強会には同協議会のメンバーなど約15人が参加。講師は同レストランの須田剛史料理長が務めた。須田料理長は「サワラの長期保存は脱水が重要。水揚げされたサワラを頭、内臓ともすぐに取らず一度寝かせる。2日目に頭と内臓を除き、タオルで水分を取る。その後、余計な水分が付かないようタオルで包み温度が変動しないチルドで熟成させる」と自身が行っている熟成方法について解説した。
また、「4日目から熟成度が変わり、イノシン酸が増えてうまみが増す。8、9日目には身が締まり最高峰の庄内おばこサワラの持ち味が出せる」と語り、実際に熟成させたサワラと、内臓を除いて水洗いしたサワラ(水揚げ後2日目)の刺し身を参加者に食べ比べてもらった。
食べ比べた参加者たちは一口で「まったく違う」と驚きの表情。協議会メンバーの鈴木剛太さん(31)は「水洗いのサワラの身は柔らかいが、熟成させた方はかんだときの弾力がまるで違う。それなのに味自体は柔らかくうまみがすごい」と話していた。
その後、参加者と須田料理長が「これほど身が締まっているなら薄造りもできる」「しゃぶしゃぶもできるのでは」などと活発に意見を交わした。