2016年(平成28年) 5月15日(日)付紙面より
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地元の高校生が最先端のバイオサイエンス研究に携わる慶應義塾大先端生命科学研究所(鶴岡市、冨田勝所長)の「高校生研究助手」と「特別研究生」の任用・入学式が12日、同市覚岸寺の鶴岡メタボロームキャンパスで行われた。本年度は過去最多となる28人(研究助手10人、特別研究生18人)を採用。冨田所長は「社会に貢献するため勇気を持って実行する人に」と熱いエールを送った。
高校生研究助手は、研究所に隣接する鶴岡中央高の生徒を対象に2009年度に始まった。放課後に研究所に通って研究プロジェクトに従事し、アルバイト代も支払われる。昨年度まで延べ56人が採用され、本年度も同校から面接などで1、2年生の10人が選ばれた。
一方、特別研究生は11年度にスタート。世界的な研究者を目指すという意欲を持った生徒を対象に、平日の放課後や夏休みなどに研究所に出入りし、スタッフの指導で研究する。今年は鶴岡南7人、鶴岡北3人、鶴岡中央1人、羽黒3人、鶴岡東4人の計18人。
この日は生徒と保護者、スタッフ、来賓の榎本政規鶴岡市長、各校の校長ら約100人が出席。冨田所長は式辞で、「君たちは一高校生だったかもしれないが、これからは違う。高校の代表であり、成果を発表するときは慶應大の代表という看板も背負っている」と語り掛け、「何のために生きるか。自分と自分の家族以外の人をどれだけ幸せにできるかでその人の価値が決まる。人と同じことをやっていてはいいものは生み出せない。リスクを伴っても挑戦する、今の日本人の手本となって」とエールを送った。
榎本市長の祝辞に続き、冨田所長が生徒一人一人に任用証や受け入れ証を贈り、固く握手。生徒を代表して特別研究生の鶴岡南高3年、岡部晴子さんが「最先端の設備を使わせていただくとともに、素晴らしい人々の導きで研究できることをありがたく思う。真摯(しんし)に研究に取り組み、いろんな知識を吸収したい」と決意を述べた。
研究を指導するスタッフ約20人も紹介され、「世界初の出来事を目の前で解明する、こんなわくわくすることはない」「分からないときは質問を」「失敗は当たり前。落ち込まないで。生命科学に人生をささげると思えるか見極める期間に」などとアドバイスした。