2017年(平成29年) 6月3日(土)付紙面より
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出羽三山の「奥の院」と称される湯殿山(標高約1504メートル)の開山祭が1日、鶴岡市田麦俣の湯殿山神社本宮で行われた。かすみがかったご神体を前に、県内外の参拝者が所願成就を祈った。
湯殿山は、羽黒山と月山で修行を積んだ修験者が生きながら仏の境地に入る聖地とされ、霊湯が湧出する巨岩がご神体として祭られている。昔から「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められた霊場で、1689(元禄2)年に訪れた松尾芭蕉は「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」の句を残している。
この日はあいにくの小雨となったものの、多くの白装束姿の信者の姿が。ご神体へ向かう前に、はだしで祈祷(きとう)を受けた後、人形の依(よ)り代で手足を拭って汚れを取り除き、近くのせせらぎに流した。
開山祭が始まる午前11時、ご神体の前には約500人が集い、足元を霊湯でぬらしながら静かに手を合わせていた。
宮城県の「松山三山講」で毎年訪れているという平岡絹子さん(58)=東京都東久留米市=は「東京に移り住んでも、先祖代々続けてきたことだから地元の講は参加している。無事に年を重ねてこられたのも、御利益のおかげと思っている」と話していた。