2017年(平成29年) 7月30日(日)付紙面より
ツイート
強毒を持つ「ヒアリ」の定着防止を図る緊急対策工事が28日、酒田市高砂の酒田港国際ターミナルで始まった。作業員が輸入貨物を置くコンテナヤードで、ヒアリの営巣場所になる恐れのある舗装の隙間に充填(じゅうてん)剤を注入するなどの作業を繰り広げた。
国土交通省東北地方整備局が各港湾管理者と調整の上、緊急的に実施する。対象は、ヒアリが定着している中国との定期コンテナ航路がある港を中心に、酒田港や仙台塩釜港、八戸港、秋田港など管内7港で、この日から一斉に始めた。
酒田港国際ターミナルでは、コンテナヤード12・3ヘクタールのうち、主に輸入貨物を置くエリア約7ヘクタールが対象。これまで国交省酒田港湾事務所と県港湾事務所が同エリアで実施した調査では、対策が必要な舗装のクラック(ひび)や側溝との隙間が約0・4ヘクタールで見つかった。舗装の隙間などには土がたまって草が生え、アリ類が営巣する恐れがあるという。
工事初日の28日はコンテナヤード東端付近で、作業員13人が作業する様子が報道陣に公開された。作業員たちは側溝とアスファルト舗装の隙間に生えた草を取り、内部の土を送風機で吹き飛ばし、ガスバーナーで乾燥させた後、隙間にアスファルト系の充填剤を注入していった。
酒田港湾事務所の及川修一副所長は「対象エリアの大半は隙間ができにくいコンクリート舗装で、アスファルトは少ない。ヒアリは東北では発見の報告はないが、しっかり対策をして侵入・定着を防ぎたい」と話した。今後は対策必要箇所を精査しながら作業を進めるため、終了予定は未定だが、「一日も早く終えたい」(及川副所長)という。
港湾管理者の県港湾事務所によると、酒田港国際ターミナルでは今月5日に緊急点検を実施し、要所に殺虫餌を設置。同10日には粘着剤でアリを捕獲するトラップを15カ所に設置し、週1回点検・交換している。これまでのところ、ヒアリと疑われる個体は見つかっていない。