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荘内日報ニュース


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2017年(平成29年) 2月14日(火)付紙面より

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鶴岡・堅苔沢寒鱈汁の会 冬の味覚心行くまで堪能

 鶴岡市堅苔沢地区の住民が集い冬の味覚・寒鱈(かんだら)汁を心行くまで味わう「堅苔沢寒鱈汁の会」が11日、同地区の堅苔沢公民館で行われた。子どもからお年寄りまで100人余りが参加し、熱々のタラ汁やタラコご飯に舌鼓を打った。

 寒鱈汁の会は、堅苔沢自治会(佐藤仁一会長)が主催し今回初めて開催。以前から自治会や地元住民の間で「地域の特性を生かしたタラ汁を楽しむ会を開きたい」という声があり、今回実現した。地元の漁業者が堅苔沢沖で捕り、水揚げしたばかりのタラ20本余りを同地区の熟年会メンバーなどが前日に下処理し、地域の女性たちがこの日の朝から調理するなど、地域を挙げて準備を進めた。

 午前11時に開会し、地元底引き船の大漁旗が飾られた公民館ホールは地元住民で満杯。佐藤会長が「豊浦底曳船主会の皆さんが悪天候の中で船を出し、たくさんのタラを提供してくれた。おかげでホカホカのタラ汁を食べてもらえる。今日は一日ゆっくり楽しんでほしい」とあいさつした。

 乾杯後、たっぷりの岩ノリが載った熱々のタラ汁を味わった。新鮮な身に加え、濃厚なアブラワタや白子など骨も内臓も丸ごと使っており、参加者は「おいしい、おいしい」と笑顔を見せていた。また、タラコをしょうゆ漬けにし、ご飯に載せたタラコご飯が子どもたちの人気を呼んでいた。

 佐藤会長は「いろいろな会合があるが、これほど人が集まることはめったにない。各団体の協力があったから開催できた。来年以降も続け、地域のつながりに結び付けていきたい」と話していた。

子どもからお年寄りまで大勢の住民が熱々のタラ汁を味わった
子どもからお年寄りまで大勢の住民が熱々のタラ汁を味わった


2017年(平成29年) 2月14日(火)付紙面より

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鶴岡銀座で「本の楽市楽座」 楽しいイベント魅力語り合う

 鶴岡銀座通り商店街の鶴岡銀座セントルで11日、本を楽しむイベント「本の楽市楽座@鶴岡銀座 バレンタインバージョン」が開かれた。県内外から集まった“本の虫”たちが、一箱古本市や朗読ライブ、読書会などを楽しんだ。

 イベントは昨年10月に鶴岡銀座商店街振興組合と共催で行った「本の楽市楽座」に出店したグループなどでつくった「グループ本の虫」(代表・菊池俊一山形大農学部准教授)が、本と読書を通じたまちづくりを進めようと開催。

 会場では県外から集まった7団体による古本市をはじめ、「茨木のり子への恋文」の著者・戸村雅子さんのミニトークと詩の朗読ライブ、「本で人とつながる」をテーマにした読書会「まちライブラリー 私が好きな恋愛小説」などさまざまなイベントが繰り広げられ、多くの読書好きや親子連れでにぎわった。

 このうち読書会「まちライブラリー」には市内外から集まった約10人の男女が自分の好きな恋愛小説を持ち寄り、面白さを発表。山形市で長く読書会を続けている団体「ひまひま」のメンバーがファシリテーターを務めた。参加者たちは「映画や漫画を見ている気分ですいすい読める」「読後感が最高」「青春時代を思い出す」などとお薦めの本の魅力を思い思いに語り合っていた。
           

多くの人でにぎわった一箱古本市
多くの人でにぎわった一箱古本市


2017年(平成29年) 2月14日(火)付紙面より

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森の時間109 ―山形大学農学部からみなさんへ―

敗者は北を目指す 小山 浩正

 旅行や進学、就職先、あるいは終の棲家を選ぶにあたり、ヒトは北を目指すタイプと南を目指すタイプに分かれるようです。私は関東の高校を卒業すると北海道に行きました。実家から遠い所で暮らしてみたかったのです。ならば沖縄でもよいはずですから、根っからの北を目指すタイプだったのでしょう。ところが、入学した大学の生物学の先生が最初の授業で口にしたのは「敗者は北を目指す」という言葉です(何という歓迎のされ方だ!)。

 多くの生物の起源は熱帯にあり、樹木も熱帯から北へ広がったと考えられています。問題は、そこに留まった者と移った者にどんな違いがあるかということ。年中温暖な熱帯ならのほほんと暮らせそうですが、そういう場所にはみんな住みたいのです。おのずと奪い合いになるので、一等地は強者でひしめくことになります。闘いに敗れた者は新天地を求めて厳しい北を目指すしかない。そういえば、なぜ「敗北」と書くのか。ドラマでサラリーマンが左遷される先もだいたい北で、トロピカルな南国へ飛ばされるシーンはまずありません。敗者は厳しい北で耐えるのが似合う。「フロンティア・スピリット」という言葉は、悪くいえば社会的敗者の強がりです。

 さて、北に逃げた敗者が耐えねばならなかった厳しさは何といっても冬の低温です。樹木も様々な工夫を進化させました。枝先の冬芽にはその成果が凝縮しています。冬芽には春を待つ幼い葉が詰まっていて、それを守るため全体が軽い脱水状態になっています。水分が残っていると、真冬に凍って膨張する氷の結晶が細胞膜や組織をズタズタにしてしまうからです。フレッシュなレタスを冷凍庫に入れるとジャリジャリになり、解凍するとしんなりしてしまうのはこのため。これを防ぐには「水抜き」が必要で、このため大抵の木の芽は乾燥状態になっているのが普通です。

 ところがトチノキはこれとは違い化学的な手法を駆使します。この樹の冬芽は光沢のある粘液でベトベトしているのですが、その正体は濃厚な糖分です。理科の授業で習った「凝固点降下」を覚えているでしょうか? 濃度の高い液体が凍りにくい現象のことで、例えば、度数の強いウイスキーやウォッカは冷凍庫でキンキンに冷やしても凍らないという有り難い教えです。トチノキは冬芽内の糖分濃度を高め、凝固点降下により寒さに対処しているのです。山大農学部の前を走る県道のプラタナス並木には、なぜか2本だけトチノキが交ざっていて、凍てつく冬の夜にその枝先を目撃してしまうと、脳裏に“ギョーコ・テン・コーカ”が鳴り響き、向かいの酒場でマスターが注いでくれるウイスキーで心も解かしたくなる。

 函館に住んでいた時のこと。私の駐車スペースはトチノキの真下にあって、春になると粘液にまみれた冬芽のかけらが大量に落ちてボンネットがベトベトになるのに辟易しました。それでも、お互い北を目指して来た者同志。しかたないかと諦めながら汚れた車で出勤したものです。

(元山形大学農学部教授 専門はブナ林をはじめとする生態学。筆者は昨年3月に急逝されました。原稿は生前に寄稿していただいていたものです)

さわるとベトベトするトチノキの冬芽=自然写真家・斎藤政広撮影(2016年12月21日、高館山にて)
さわるとベトベトするトチノキの冬芽=自然写真家・斎藤政広撮影(2016年12月21日、高館山にて)



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