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荘内日報ニュース


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2024年(令和6年) 5月2日(木)付紙面より

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日本海岸林学会「地域賞」受賞記念 万里の松原で植樹活動 酒田 地元児童と共に「大きくなって」願い込め

 海岸林に関する活動を通し地域に貢献した個人・団体をたたえる、日本海岸林学会(岡田穣会長)制定「地域賞」に昨年、酒田市の環境保全ボランティア団体・万里の松原に親しむ会(三浦武会長)が輝いた。受賞を記念した植樹活動が30日、フィールドとしている同市の万里の松原で行われ、会員たちが地元児童と共にイタヤカエデ、ケヤキを中心に広葉樹の苗木を植えた。


生育状況確認今後に生かす

 親しむ会は2001年7月、松陵、泉両小学区の住民を中心に設立。現在の会員は95個人、付近の学校など12団体。市街地北西部に広がるクロマツを中心とした万里の松原(約70ヘクタール)で植栽した花木の手入れ、下草刈り、枝打ちなどの活動を継続するほか、小中高校生に森づくりや環境保全に関する教育を実施している。

 また、東日本大震災で海岸林が大打撃を受けた仙台市若林区荒浜地区に13年4月、会員約50人が出向きクロマツの苗木500本を植林し、その後も現地に足を運んで手入れを続けている。これらの功績が認められ、昨年10月に酒田市の東北公益文科大で行われた同学会酒田大会の席上、「地域賞」を受けた。

 今回植樹した箇所は万里の松原のうち酒田南高豊里キャンパスに隣接する、庄内森林管理署(鶴岡市、石田秀夫署長)管理の国有林。マツノマダラカミキリ(松くい虫)、マツノザイセンチュウの被害を受けて枯れたクロマツの伐採跡地に、日本森林林業振興会秋田支部(秋田市、木村大助支部長)から寄贈を受けたイタヤカエデ、ケヤキ、カシワなど0・5―1メートルの苗木計約100本を植えた。「『松原』と名乗っているが、クロマツを植えても再び被害に遭う可能性が高い。広葉樹がどのように生育していくか状況を確認したい」(三浦会長)という。

 この日は三浦会長はじめ会員、石田署長ら管理署職員計約40人と、近くの松陵小学校(松本茂章校長)の5年生44人が参加。三浦会長が「児童の皆さんが高校を卒業する頃、見事な樹木になるはず。これからもここに来て、どのように大きくなっていくか見守ってほしい」、石田署長が「松くい虫による被害が大変な状況になっている。画期的な取り組みで、皆さんと一緒に植樹できるのがうれしい」とそれぞれあいさつ。会員らの手助けを受けながら児童たちは「大きくなって」と願いを込めながら丁寧に植樹していた。

 参加児童の一人、佐藤唯さん(11)は「親しむ会会員の話を聴いたり、本間光丘翁の業績を学習するなど、これまでクロマツについて学んできた。松くい虫の被害が広がっていることも知った。大きく成長した姿を見に来たい」と話した。

受賞を記念して会員と地元児童が協力して苗木を植栽
受賞を記念して会員と地元児童が協力して苗木を植栽


2024年(令和6年) 5月2日(木)付紙面より

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白甕社隆盛を支えた人々紹介 鶴岡市大寶館」企画展「庄内美術の粋・100年の歩み」

 鶴岡市馬場町の大寶館で第47期企画展「庄内美術の粋~白甕社(はくおうしゃ)100年の歩み~」が開かれている。今年で創立100周年となる庄内の美術団体「白甕社」について、地方美術の振興のため団体の創設に奔走した中核メンバーをはじめ、会の隆盛を支えた美術家たち、白甕社創設以前に優れた美術教育を庄内の地に施した先人たちをパネルで紹介している。

 展示パネルは「小貫博堂と俊英たち」「白甕社の誕生」「白甕社を彩った美術家たち」の3種に分かれており、このうち「白甕社の誕生」は1924(大正13)年に旧制鶴岡中学校(後の鶴岡南高校、現致道館高校)に在学していた野坂是勇氏(1907―82年)や齋藤求氏(1907―2003年)、白虹社(はっこうしゃ)(後の白甕社)初代会長の新穂源治郎氏(1889―1925年)を紹介している。

 絵画の研究と地方美術の啓もうを目的に、野坂氏が齋藤氏など美術愛好の同志に呼び掛けて立ち上げた団体が白虹社で、後に野坂氏は実父から「中国故事で白虹は不吉の兆しで、会の名称としては縁起が悪い」と教えられたことから白甕社に改称したという。

 また、「白甕社を彩った美術家たち」は、旧羽黒町出身で白甕社委員長を長く務めた今井繁三郎氏(1910―2002年)や日本画の普及・発展に尽力した伊藤喜久井氏(1911―2002年)などを紹介。特に今井氏は中央画壇との太いパイプを持ち、第24回白甕社展で当時の著名画家たちの作品を特別陳列するなど、物的・人的交流を通して地方へ中央の風を招き入れた。これにより庄内の作家たちの奮起を図ったとされる。

 「小貫博堂と俊英たち」は、白甕社設立以前に庄内の学生たちへ優れた美術教育を施し、数多くの美術家の才能を開花させた小貫博堂氏(1879―1960年)と教え子たちを紹介している。

 小貫氏は荘内中学校(鶴岡中学校の前身)の美術教師を務め、在職中に東京美術学校(現東京芸術大)へ30人近い教え子を入学させた。首席で入学、卒業する生徒も多く、当時の東京美術学校在校生は「荘内勢」と呼び一目置いていたという。小貫氏が庄内に美術の文化を根付かせ、白甕社設立の契機となった。

 いずれのパネルも写真や本人が描いた作品などが添えられている。展示は来年3月25日まで。入場無料。

創立100周年の白甕社に関わった数多くの芸術家たちを紹介する企画展
創立100周年の白甕社に関わった数多くの芸術家たちを紹介する企画展


2024年(令和6年) 5月2日(木)付紙面より

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今道コレクションと庄内刺し子 鶴岡・王祇会館19日まで70点余展示

 絵画の今道コレクションと庄内刺し子の展示会が鶴岡市黒川の黒川能の里「王祇会館」多目的ホールで開かれている。

 「今道コレクション」は同市櫛引地域在住の今道中也さん(70)が40年ほどかけて収集した日本画の東山魁夷(かいい)や横山大観、洋画のアンドレ・ブラジリエなどのリトグラフ作品、土門拳の写真集「古寺巡礼」国際版全5巻など約20点。「東山作品の精神性の深さに引かれる」という今道さんは「朝濤」「雪の後」「山雲湧く」の3作を購入。さらに森や馬など共通の題材を描き、東山と親交のあったブラジリエにも興味を持つなど、コレクションの幅を広げてきた。会場では東山の全作品を収録したDVDの上映も行っている。

 日本三大刺し子の一つといわれる「庄内刺し子」の作品を展示したのは、今道さんの友人で、庄内町在住のさとう恵美さん(68)。さとうさんは庄内刺し子の講師としても活躍しており、その伝承に努めている。さまざまな技法で文様を刺した着物やはんてん、のれん、タペストリー、日傘などこれまでに作りためた50点余りを展示した。中には、刺し子を施した布を前面にはめこんで制作したたんすや棚もあり、訪れた人の興味を引いていた。

 展示は19日(日)までの午前9時から午後4時半まで(水曜日休館)。入場無料。

王祇会館で開かれている絵画と庄内刺し子のコラボ展
王祇会館で開かれている絵画と庄内刺し子のコラボ展


2024年(令和6年) 5月2日(木)付紙面より

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酒田の映画文化学び研究 活動集大成に映画上映会 酒田東高3年生ら 映画文化復興チーム 自ら企画し実現に大きな拍手

 酒田東高校(齋藤一志校長)の課題研究で昨年度、酒田の映画文化を学び、映画を活用した地域の活性化について研究した3年生を中心に結成した「映画文化復興チーム」による映画上映会「シネマストリート」が29日、酒田市の希望ホールで開かれた。多くの市民らが鑑賞に訪れ、生徒たちの活動の集大成に上映後、大きな拍手が送られた。

 市産業振興まちづくりセンター・サンロクで行われた、起業家に必要な精神と資質、能力を育んでもらうことを目的とした講座「アントレプレナーシップ」で、酒田の映画文化について学びを深めた生徒たちがチームを結成。今年1月に開かれた総務省東北総合通信局主催「SPARK!TOHOKU2023 Startup Pitch」(仙台市)で研究成果を発表、KDDI賞を受賞した。

 その後、「発表で終わらせず行動を起こしたい」と上映会を自ら企画。本年度の課題研究で映画を使った中町の活性化に取り組むことにした2年生も加わり、計8人でクラウドファンディングなどを展開し実施した。

 この日は同級生をはじめ多くの市民らが訪れ、午前100席、午後70席用意した席はほぼ満席に。このうち午後のプログラム「キネマの神様」上映後、鑑賞客らは生徒たちに大きな拍手と激励の言葉を送っていた。

 上映を終え、3年の足達牧乃さん(17)は「ハプニングもあり、難しさを痛感したが、改めて映画の楽しさを実感できた。多くの人に声を掛けてもらえてうれしかった。映画が好きなので、将来何かしら関わる仕事ができたら」と。2年の遠藤埜乃佳(ののか)さん(16)は「先輩たちへの周囲の期待を目の当たりにし、自分たちが引き継ぐことへの責任を感じた。先輩たちの企画力や行動する勇気はとても尊敬するし、そばでたくさん学ばせてもらった。今後さらに活動をアップデートできるように頑張りたい」と語った。

上映後、舞台あいさつでお礼を述べる酒田東高映画文化復興チーム
上映後、舞台あいさつでお礼を述べる酒田東高映画文化復興チーム



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