2018年(平成30年) 1月10日(水)付紙面より
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今年は、江戸時代に酒田湊を起点に西廻り航路を開いた商人・河村瑞賢(1618―99年)の生誕400年。これを記念して酒田市は今年、瑞賢の生誕地・三重県南伊勢町と連携し、酒田の魅力を全国に発信していく。その第1弾として今月24日には、東京・日本橋で開かれる両市町の交流イベントに丸山至市長ら同市関係者が出向き、トークイベントや物販などで酒田をアピールしてくる。
瑞賢は伊勢国度会郡東宮村(現南伊勢町)生まれ。13歳で江戸に上り、材木商として財を成した。その後、幕命を受けて寛文年間(1661―73年)に幕府米を江戸に運ぶため、東北の太平洋側からの東廻り航路、東北の日本海側からの西廻り航路をそれぞれ開いた。西廻り航路は最上川流域の米を酒田に集め、酒田を起点に下関海峡、瀬戸内海を通って大坂、江戸へと至る航路で、酒田では今も、港町酒田の繁栄の礎を築いた偉人として尊敬されている。
酒田市と南伊勢町には、ともに酒田市出身の彫刻家・高橋剛さん(1921―1991年)が制作した瑞賢の銅像があり、「瑞賢の銅像があるのは全国でこの2市町だけ」(丸山市長)という。昨年6月には生誕400年を記念し、南伊勢町のヨットマン・寺田順さんが西廻り航路をたどる航海の途中に酒田港に寄港し、小山巧南伊勢町長の親書を丸山市長に贈った。その際、丸山市長は「これを機に交流したい」という意思を示していた。
今月24日のイベントは、首都圏における三重県の情報発信拠点である「三重テラス」で、酒田市と南伊勢町が連携し、瑞賢の偉業とともに両市町の魅力を発信しようと開く。丸山市長と、南伊勢町観光協会特命観光大使でもある寺田さんが対談するほか、酒田の米や地酒、寒鱈(かんだら)料理などを提供する。
酒田市は今後、昨年4月に同市など全国11市町が「北前船寄港地・船主集落」として日本産遺産の認定を受けた関連事業の一環で、瑞賢に焦点を当てたパンフレットも作製する予定。
丸山市長は今月4日の市職員への年頭あいさつの冒頭、瑞賢生誕400年に触れ、「瑞賢は、酒田の歴史を語る時、枕ことばとして出てくる人物。生誕400年はまちの元気をアピールする絶好の機会」、同5日の定例記者会見でも「瑞賢生誕400年を今年の酒田の売り看板にしたい」と、瑞賢と西廻り航路をキーワードに、港町酒田の歴史と誇りを喚起し、対外的にアピールしていく意気込みを示した。