荘内日報ニュース

2018年（平成30年） 9月6日（木）付紙面より

台風２１号庄内にも爪痕

　強い勢力を伴って日本列島を北上した台風21号が4日夜から5日未明にかけて本県に接近した影響で、庄内地方でも人や建物、農作物への被害や、倒木による道路の通行止め、交通機関の乱れが相次いだ。

　気象庁によると、台風21号は4日正午ごろに徳島県南部に上陸。日本列島を北上し、本県に同日午後9時ごろに最接近したとみられる。山形地方気象台によると、5日午前、北海道の西を北上しており、温帯低気圧に変わる見込み。

　庄内地方では、酒田で4日午後9時すぎに最大風速18・6メートル（最大瞬間風速29・7メートル）、庄内町狩川で同日午後8時半から同9時半にかけて最大風速15・1メートル（最大瞬間風速27・4メートル）をそれぞれ記録した。

　5日午前現在の県危機管理課のまとめでは、庄内地方のけが人は1人で、4日午後9時ごろに庄内町槇島の50代男性が自宅にいたところ、割れた窓ガラスで足首に軽いけがをした。建物被害では、遊佐町藤崎茂り松地内で無人の木造平屋建ての小屋が倒壊し、建材が一時県道に散乱した。

　鶴岡市朝暘町では内川に架かる上内川橋近くに設置してあった市の管理する街路灯1本が根元から折れる事案もあった。現場近くの同市鳥居町在住の50代男性は「4日午後7時ごろに強い突風があり、家のトタンもはがされた」と不安そうに話した。市防災安全課によると苗津町公民館に2人が自主避難。避難した60代と50代の姉妹は「近年ない強さの台風とのニュースもあり、万が一と避難」と話した。

　酒田市の刈屋地区で栽培されている和梨にも被害があった。約145アールのほ場がある杉山梨園の杉山芳行さん（69）によると、全体の半分の幸水を収穫済みだが、残るうちの約半分が落果したという。「落果を狙う鳥も来るので早く処分しなくては。擦り傷も付くので、販売で苦労するだろう。ここ10年ない被害」と話した。

　交通関連では4日、羽越本線は特急いなほの下り線をはじめ計12本が運休または区間運休、計8本に最大253分の遅れがあり、約1030人に影響した。東京発庄内行き全日空第4便（399便）は4日、折り返しとなる5日の庄内発東京行き同第1便（394便）とともに欠航した。県庄内空港事務所によると、両機には計210人が搭乗を予定していた。

　東北電力山形支店によると、遊佐町の岩川や白井新田など合わせて889戸で4日午後6時半ごろから停電し、5日午前0時までに復旧。酒田市泥沢の38戸では5日午前6時半から停電し、同日午前9時14分までに復旧した。