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2018年(平成30年) 6月28日(木)付紙面より

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新海町 歴史や住民の思い出一冊に

 鶴岡市の中心部に位置する新海町の歴史や住民の思い出、町内の案内などをまとめた冊子「物語しんかい」が発刊された。「新町」と「大海町」が一つになり新海町として住居表示が始まり50年たったのを記念し、住民有志が調査や執筆を進め、2年がかりでまとめた。町への誇りと愛着あふれる読み物、新海町を再認識するための案内書にもなっている。

 鶴岡公園西側の大山街道と青龍寺川周辺に広がる新海町は、1967(昭和42)年に現在の住居表示となった。今年4月末現在、世帯数627、住民1352人。町名「新海」への住居表示変更50年を前にした2年半前、「何か記念の事業ができないか」と住民から持ち上がり、有志で「新海町史研究会」(日下部博代表)をつくり、冊子の発刊作業を進めた。

 「物語しんかい」は▽城下町と歩んだ400年▽忘れずに伝えたい話▽新海町あれこれ▽新海町ゆかりの人々―など8章構成。酒井家が庄内に入部した1622年以降に現在につながる町がつくられ、鶴ケ岡城が置かれた今の鶴岡公園から青龍寺川までは三の丸に当たり、新海町との境に木戸が設けられていたことや、当時は「大山海道」と表記され、これが旧大海町の由来となったことなどを紹介。

 数多くある寺社や青龍寺川に架かる「万年橋」の由来となった万年味右衛門など人物にも触れ、明治以降は鶴岡を支えた絹産業に関連し、松岡製糸所や松岡機業、羽前絹練などの企業の進出が続いた歴史をつづった。また、江戸から明治にかけて「新町焼」の窯があったこと、戦後に万年橋公園から湧出したお湯、新海町が誕生した50年前は田畑が町内全域の55%を占め、町から羽越本線の蒸気機関車や庄内電鉄の「湯野浜電車」が見えたこと、誕生後に始まった夏祭り、公民館建設など新たな町の動きも伝えている。

 付録として町内の案内地図、以前あった商店や子どもたちの遊び場などを盛り込んだ「おもいで地図」を添えた。「物語しんかい」はA5判、135ページ。1000部発行。公益信託荘内銀行ふるさと創造基金の助成を受けた。

 企画、調査、構成、編集と全て住民が担った。執筆の中心メンバーの阿部幸二さん(74)は「子どもも読めるようにと分かりやすい表現に努め、新海町のことを楽しく知ってもらおうと読み物風にまとめた。発刊を通してさまざまな発見があり、町を見直すきっかけにもなり、次世代にこの町の誇りと自信を引き継いでいきたい。町内出身者に届けたいという町民が多く、とてもうれしい反響」と話した。

 鶴岡市内の書店で1620円(税込み)で販売している。問い合わせは阿部幸二さん=電0235(23)0745=へ。

次世代に語り継ごうと、町内の歴史や思い出などをまとめた読み物風の冊子「物語しんかい」と、付録の「新海町案内地図」
次世代に語り継ごうと、町内の歴史や思い出などをまとめた読み物風の冊子「物語しんかい」と、付録の「新海町案内地図」


2018年(平成30年) 6月28日(木)付紙面より

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絹遺産を活用した地域づくり

 日本の近代化を支えた絹産業の遺産や資産を生かした地域づくりを目指す「シルクロード・ネットワーク鶴岡フォーラム2018」が24日、鶴岡市先端研究産業支援センター・レクチャーホールで開かれ、専門家による講演や全国各地の事例報告を通じ、絹遺産を活用した地域づくりを探った。

 公益社団法人横浜歴史資産調査会(横浜市)、NPO法人街・建築・文化再生集団(群馬県前橋市)が主催し、2015年からフォーラムを開催しており、鶴岡市では初めて。今回のフォーラムは、「『シルクロードでつなぐ街と人』―サムライゆかりのシルクから絹遺産の再生・継承を学ぶ」をテーマに開催し、全国各地から約90人が参加した。

 事例報告では、養蚕から加工まで絹織物生産の一貫工程が国内で唯一残る鶴岡市、戦前に設立された旧農林省蚕糸試験場新庄支場(エコロジーガーデン)が残る新庄市、生糸の集積地として栄えた福島市、養蚕業や製糸業が盛んだった長野県千曲市など9市町の担当者やNPO法人の関係者が事例報告した。

 このうち鶴岡市は、旧庄内藩士約3000人による松ケ岡開墾と桑園整備、日本最大の蚕室群建設の歴史や、昨年の松ケ岡開墾場を中心にした「サムライゆかりのシルク」の日本遺産認定、絹文化の保存・継承に向けた鶴岡シルクタウン・プロジェクトなどを紹介した。

 松ケ岡開墾とその後に鶴岡の産業を支えた絹織物について、元鶴岡織物工業協同組合理事長の田中尹さんは「西郷隆盛の勧めもあって開墾に取り組み、62万5000本のクワの苗木を3年がかりで植え、10棟建設した日本一の大蚕室は今も5棟残る。開墾は全員が無給で取り組んだのが特徴で、(西郷の弟の)西郷従道からは2―3年間、個人的に金銭の支援を受けていた。大正から昭和初めには、絹産業が鶴岡全体の工業製品出荷額の9割近く、従事者は6割近くを占める産業に成長した」と解説。地元の絹文化を学ぶ鶴岡中央高生はファッションショーなどの取り組みを紹介し、「シルクガールズとして先輩たちの思いを引き継ぎ、つないでいきたい」と意欲を語った。

 事例報告に先立ち、国土交通省景観・歴史文化環境整備室課長補佐の富所弘充さんが「歴史まちづくりの取り組みを通じた地域活性化」、文化庁文化財調査官の梅津章子さんが「歴史・文化を活(い)かしたまちづくり―文化財行政の役割」と題して基調講演。東北公益文科大大学院特任教授の高谷時彦さんが「鶴岡まちなかキネマ―木造絹織物工場を映画館に」のテーマで基調報告。前日の23日には、各地からの参加者がまちなかキネマや松ケ岡開墾場、国指定重要文化財の旧風間家住宅丙申堂、致道博物館など、鶴岡の絹遺産を見学した。

全国から関係者が集まり、絹遺産を生かしたまちづくりを探った=24日、鶴岡市先端研究産業支援センター
全国から関係者が集まり、絹遺産を生かしたまちづくりを探った=24日、鶴岡市先端研究産業支援センター



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