2019年(平成31年) 1月5日(土)付紙面より
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江戸時代から酒田市に伝わる伝統工芸「酒田押絵」の羽子板展が、同市日吉町二丁目の国登録有形文化財「山王くらぶ」で開かれており、歌舞伎や伝説を題材にした華やかな羽子板が正月ムードを盛り上げている。
庄内には江戸時代後期から幕末にかけ、参勤交代による行き来で江戸から押絵文化がもたらされた。酒田の女性たちは、北前船でもたらされた上方文化の要素も加え、貴重な着物地で繊細、かつ洒脱な歌舞伎などの絵柄を生き生きとかたちづくる「酒田押絵」を作り上げてきた。今回は地元の女性たちが作り、2010年10月に市に寄贈した136点のうち、季節に合わせ、羽子板45点を展示した。
このうち「若武者」と題した作品は、白馬に乗った若武者の勇ましい姿を表現したもの。そのほか、あでやかな「鷺娘」、凛々(りり)しい表情の「弁慶」、少し憂いを秘めた「お七」など、歌舞伎の登場人物や伝説の主人公らをかたちづくっている。大きさは、大きいもので高さ70センチほど。いずれも華やかな着物地の下に綿を入れて立体感を出し、生き生きとした存在感を際立たせている。
展示を企画したイベント企画などの「チアーズ」(加藤明子代表)では「布の使い方や着物の重ね方など、受け継がれてきた繊細な技術を見てほしい」としている。
展示は今月20日(日)まで。入場料は、大人310円、高・大学生210円、小・中学生100円。火曜日は定休。同時開催として、酒田が舞台となったNHK連続テレビ小説「おしん」の時代(明治後半から大正まで)の生活用具などを展示した「『おしん』が見た酒田展」も開かれている。問い合わせは山王くらぶ=電0234(22)0146=へ。