2019年(平成31年) 3月1日(金)付紙面より
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国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構と、慶應義塾大先端生命科学研究所は27日、両者による研究グループがα(アルファ)線がん治療薬に特異的に応答する遺伝子4種類を特定したと発表した。α線がん治療は全身に転移したがんにも威力を発揮する治療法として注目されており、今回の発見により、正確で効果的な診断、新たながん治療法の開発につながることが期待される。研究内容は同日の国際的な専門誌にオンライン掲載された。
放射線の一種のα線は体外からは測定できず、治療薬が狙い通りにがん細胞に届いて作用しているかを診断するのは困難で、そのメカニズム解明が課題となっている。
そこで研究チームは、この治療メカニズムの解明に役立つバイオマーカー(生体指標)の探索に着手。α線治療薬に反応する遺伝子を調べるため、全遺伝子について治療薬に対する発現量変化を解析した。最新の遺伝子解読技術のRNAシーケンス解析を用い、がん治療の基準放射線として知られるγ(ガンマ)線を照射した細胞と未処理の細胞を比較し、α線治療薬に特異的に発現変動する4つの遺伝子を特定した。
今回特定した遺伝子の中には、放射線イメージング法と組み合わせて体外から反応状況を可視化できるものもあり、これを指標として正確な診断が可能になるという。また、がん細胞の死滅や転移に関わる遺伝子もあり、最適ながん治療法の選択や新たながん治療法の開発に役立つことが期待される。研究チームは今後、将来的な臨床応用に向けマウスでの実証など研究の取り組みを進める。
2019年(平成31年) 3月1日(金)付紙面より
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鶴岡市で読書を通したまちづくりに取り組む市民団体「読書のまち 鶴岡」をすすめる会(黒羽根洋司代表)は、昨年発行した「まちじゅう図書館マップ」の完成を祝うとともに、さらなる活用と充実を図ろうという交流会を25日、同市の鶴岡まちづくりスタジオDadaで行った。
同会は「読書でまちを元気にしよう」と2011年に発足。3年ほど前から活動の一環として、どこでも誰でも本と出合える環境づくりに役立てようと、市内で図書を置いている施設のマップ作りを計画。情報収集から始まり、施設へのアンケート調査や掲載の承諾取り付けなどを行った上で、掲載する施設の取材や写真撮影などを行い、3000部を印刷。昨年10月に掲載施設や、観光案内所など人の集まる場所に設置。さらにスタンプラリーもスタートさせた。これには2カ年にわたり「荘内銀行ふるさと創造基金」を活用した。
掲載したのは市立図書館や地区公民館、コミュニティセンター、児童館など公共施設のほか、飲食店や医院、旅館、私設文庫など60施設。官民の施設が一堂に掲載されたものは珍しいという。
今回行われた交流会は、会のメンバーと掲載された施設の代表などが集まり、マップの利用状況を把握するとともに、継続して活動していくためのアイデアなどを出し合おうと、マップ作成に関わった女性メンバーが中心となって企画。マップ掲載施設の担当者やスタンプラリー参加者、すすめる会の理事ら30人余りが参加。全体を5つのグループに分け、出された発言を次々と付箋に書き込み、大きな紙に貼っていくブレインストーミング方式で行った。
参加者からは「マップを見て、初めて来てくれた人がいた」「置く本を季節や行事に合わせて変えていければ」「フェイスブックなどで情報発信」「空き家を利用してリサイクル本などを集積し、マップ掲載施設に貸し出す」「ミステリーツアーの開催」などの感想やアイデアが出された。
また、「気付いたら身近に本があるという環境が理想だが、マップの完成は、そうなるための第一歩だと思う」「このような会を持つことに意義があるので、継続して行ってほしい」などの意見もあった。
すすめる会では、アイデアなどが書かれた付箋をテーマごとに分けて分析し、今後の活動に生かすという。黒羽根代表は「これらをもとに、さらにバージョンアップさせ、愛されるマップを作りたい」と話していた。