2019年(令和1年) 10月5日(土)付紙面より
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酒田港へのクルーズ船寄港をテーマにした「クルーズセミナーin酒田」が3日、酒田市のガーデンパレスみずほで開かれた。英国船籍の大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(乗客定員約2700人)の寄港決定権を持つカーニバル・オーストラリア社のマイケル・ミハイロフ取締役らが講演で、酒田港と周辺について「加茂水族館は世界基準で、ここだけでも訪問する価値がある」など観光資源を高く評価するとともに、「観光施設のキャパシティー(収容人数)が大きいところが少ない」など課題を指摘した。
酒田港の利用促進を図っている官民連携組織“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会(会長・吉村美栄子知事)が主催した。2016年4月に外航クルーズ船誘致部会を設け、誘致や受け入れ環境の整備に取り組んでいる一環。行政や観光関係者ら約100人が参加した。
第1部では、JTBグローバルマーケティング&トラベル社の藤田宗則クルーズ課長が「寄港地観光ツアーの現状と課題」と題して講演。ダイヤモンド・プリンセスの寄港地観光ツアー造成に関わった経験を踏まえ、酒田港の魅力については▽アクセスが良い(クルーズ視点だと、横浜から1日など近い)▽隠れた本物の宝庫(まだ世界に知られていない優れた観光地が近距離にある)▽地域の力(広域連携や地域を挙げた歓迎が充実)―などを挙げた。
一方、課題としては▽隠れ過ぎており、もっとアピールが必要▽各観光施設のキャパシティー(大人数で行けるところが少ない)▽地域の通訳案内士(ローカルガイドが少ない)▽椅子やテーブルで対応できないレストランがある―などを指摘。さらに魅力的にするため、地域の料理人や職人らと直接交流して現地の文化を知る「ローカル・コネクション」に力を入れ始めたことを紹介し、「少しのアイデアで満足度が飛躍的に高まる。一緒にアイデアを考えて」と呼び掛けた。
第2部ではミハイロフさんが「プリンセス・クルーズから見た酒田港」と題して講演。日本については「ミステリーがたくさん残っており、魅力的。文化や歴史、自然が豊かで、クルーズで使える港が50港と多い。たくさんのミステリーを船でつなげ、発見していく楽しみがある」とした。
ローカル・コネクションについては「『人』がキーワード」として、乗客が日本各地の料理人や杜氏(とうじ)、ガラス職人などと触れ合った事例を紹介。「普通のツアーでは行けないようなところに行き、人と触れ合う感動は大きい。直接的な経済効果はあまりなくても、口コミで良さが広まる波及効果は大きい」とした。
寄港地・酒田については「加茂水族館は世界基準で、ここだけでも訪問する価値がある。本間美術館の庭園も素晴らしい。羽黒山は世界遺産レベルで、斎館の精進料理は宝物と感じた。そういう本物、特別感があるものを組み合わせ、新しいものをつくっていきたい」とした。また、来年のダイヤモンド・プリンセスの寄港予定4回のうち、初回(4月18日)にはオーストラリアとニュージーランドのマスメディア関係者も来ることに触れ、「酒田にとって良いアピール機会になる」とした。